絵の構図に行き詰まったらやってみ!構図作りを助ける掛け算テクニック

絵の構図に行き詰まったらやってみ!構図作りを助ける掛け算テクニック

「このキャラを描きたいけど、構図が思いつかいない!」

「構図のセンスがないから、いつも棒立ちか顔だけの絵になっちゃう……」

と、悩んだ経験はありませんか?

 

そこで今回は、イラストレーターの林檎坂マリコさんが教える「林檎坂流・構図作りを助ける掛け算テクニック」を伝授します。

 

「掛け算テクニック……?なんじゃそりゃ」と思うかもしれませんが、このテクニックを使うだけで、描きたいものが明確になり、絵の構図を作るのも、背景を描くのも楽しくなるかもしれません!

 

「背景描けないし、構図のセンスがないから、いつも顔だけ絵か、棒立ち絵になっちゃう。才能がないからだ……」と悩む必要もなくなります!

 

さて、「掛け算テクニック」とはなんなのか、まずは構図が思いつかない理由から紐解いていきましょう。

 

構図が思いつかないときの考え方のひとつとして参考にしていただければ幸いです。

 

 

なぜ構図が思いつかないのか 

林檎坂マリコ

こちらのハロウィン子ちゃんのイラストは、3年前の私が描いた棒立ち絵をリメイクしたものです。

 

 

色々知恵を働かせて頑張りましたが、やはりシンプルすぎる構図になっています。

このままでは、ハロウィン子ちゃんに「なんとかしろ」と怒られてしまいます。

 

そもそも、なぜ棒立ちの絵になってしまったかというと、絵を描く前に考えていたことが「どんなキャラを描くか」しかなかったからです。

 

絵のゴールが「キャラを描く」で止まっていたため、背景の構図までたどり着けませんでした。以下のような状態です。

林檎坂マリコ

そこで、スタート地点での考えを第一ゴールの「キャラ」だけじゃなく第二ゴールの「構図・背景」まで広げていきます。

林檎坂マリコ 

そして、構図・背景まで考えるにはスタート地点で、「どの媒体に向けて描くか」が攻略の鍵となります。

1,絵を描くときの媒体を想定する

まず著者は、絵を描く前に「なにに使われるか」と想定して描きます。


「若い女性向けの雑誌の表紙に使われるような絵を描こう!」と思うだけで、「じゃあ、ポップで可愛らしい、キャッチーな絵がいいかな」と考えが膨らみ、第二ゴールである構図がおのずと決まってきます。

 

何に使われるか…というのは想像で良いのです!

 

このように、構図を考えるには、描き始める前に「好きなキャラクターを描く」という意識を「〇〇(媒体)に登場する好きなキャラクターを描く」に変えてみましょう。

媒体の特徴について

ここで指す媒体とはアニメや漫画をはじめ、ソーシャルゲーム風ユニットイラスト・キャラクターカード・CDジャケット・小説の表紙・ポストカード・エンブレム……などです。

 

具体的に考えておくほど、構図が決まりやすくなりますよ。

 

そこでキャラクターイラストが扱われやすい媒体の特徴をまとめてみました。

 

ユニットイラスト

ソーシャルゲームを中心に頻出しているイラストのジャンルです。

ポーズを決めたキャラクターの周りに、エフェクトやキャラに関係のあるオブジェクトを配置しています。

 

背景を描かず、シルエットの抜き(空白)を作るのが特徴です。

 

キャラクターカード

ソーシャルゲームや紙媒体を中心にした美少女・美男子などのイラスト。

 

シルエットで抜きを作るユニットイラストと比べ、キャラクターカードは抜きを作らず、限界ギリギリの情報量を詰め込み、豪華に見せるのが特徴です。

 

CDジャケット

CDの顔となるカバーイラスト。どんな曲かを絵で表現するのが特徴。

 

また音楽のジャンルである「ポップ」「ロック」「萌ソング」「ビジュアル系」「演歌」など、曲調に合わせて絵を表現するのが一般的です。

 

小説の表紙(装画)

小説のカバーイラスト。物語の雰囲気を伝え、狙った購買層を絵で注目させる役割を持つ。

 

(ex.萌小説なら美少女メインのイラストを使用し、BL小説なら綺麗な男性のイラストを使用する……など)

 

ポストカード

はがきの裏に印刷された絵のこと。イラストのテイストが幅広いのが特徴。

 

エンブレム

絵と図形が融合した記号のようなイラストのこと。一目でブランドを理解させる役割を持つ。

 

構図の初歩的な知識と、モチーフの引き出しを多く持つことが要求される。

2.決めた媒体を掛け算する

さて、どの媒体をイメージして描くかを決めましたか?選ぶ媒体は2個までにしておきましょう。

 

でないと、絵の情報量が多すぎてパンクしてしまうからです。

私は、ユニットイラストとCDジャケットを選びました。

2つの媒体を選ぶ意味

なぜ2個決めるのかというと、上記で決めた2点の良いとこ取りをしよう、という理由です。

 

また、1つの媒体に絞ってしまうと、想像力がそれだけで止まってしまうので、あえて2つを混ぜることで、先入観を外す狙いがあります。

 

今回のモチーフ作品で、私は「『ユニットイラスト』のシンプルな手数でキャラの特徴を理解してもらえる利点」×「『CDのジャケット』の曲を連想させるジャンル感」をとりました。

絵の完成

林檎坂マリコ

 「『ユニットイラスト』のシンプルな手数でキャラの特徴を理解してもらえる利点」×「『CDのジャケット』の意図した楽曲をイメージさせる雰囲気」という掛け算によって描いたのが、こちらのハロウィン子ちゃんです。

 

ハロウィンの夜に似合う、ゴシックポップな曲のジャケットをイメージしています。

 

ユニットイラストの手数である、衣装とオブジェクトによるハロウィン感アピールと、ゴシックポップな曲のイメージを伝える、という目的を果たしました。

 

キャラを描くことだけを目的とした棒立ちの絵から、結構な進化が出来たことかと思います。

3.終わりに

今回の講座で説明した媒体以外にも「ファッション誌の表紙」「映画のポスター」「ゲームのパッケージ」……と、面白いものは色々あります。

 

これはすごい!と感動した物を脳みそにストックし、想像力を鍛えて、余裕を弄びながら絵が描けたらいいなと思います。

 

ここまでお付き合いくださって、ありがとうございました!

 

[著・画]林檎坂マリコ

林檎坂マリコ 

Twitter|@mariko_0913

Pixiv|http://www.pixiv.net/member.php?id=6199553

専修大学、人文・ジャーナリズム学科卒。有り難いことに、線画と色を良く褒められる。

 

人当たりの良さそうな人物を描くのがウリ。通常レイヤーのみで絵を描いているので、レイヤー破損の心配が無いのが強み。好きなゲームは、スプラトゥーン・逆転裁判・ポケモン・カービィ・ゼルダの伝説など。