「背景」というテーマに苦手意識を持っている方は多いかと思います。描きたいと思いつつもどこから手を付ければよいのかわからない、ということもあるかもしれません。
しかし背景も「絵」です。寸分違わぬ完璧な背景などは建築図面の世界でのみあればよいです。いくつかのルールやコツを掴んで、楽しく画面を華やかにしていきましょう。
▼目次
消失点とアイレベルを決めて、背景レイアウトを工夫しよう
背景を描く前に「アイレベル」と「消失点」というキーワードを抑えておきましょう。
アイレベルとは?
アイレベルとは目線の高さです。キャラクターと同じ目線にすることで、その場にいるような視点で画面を演出できます。
消失点とは?
消失点とはパースの線がアイレベル上に集まった点です。目線の先や一番見せたい部分、見ている方向に合わせて消失点を決めることで画面を演出できます。
このアイレベルと消失点をどこにするかの組み合わせで構図が決まりますので、背景から与えたい印象に合わせて考えてみましょう。
奥行きを与えて、空間を演出してみよう
パースを使うことで奥行きのある背景が描けます。
奥行きの取り方には様々な方法がありますが、本講座では「定規不要」で描ける方法をご紹介します。この方法を使うと描いてある人物などを基準にサイズを出すことも可能です。
まずはあらかじめ、部屋となるサイズを決めて消失点を描きます (図の①②) 。その後は消失点からパース線を引いて、補助線を描きます(図の③④⑤)。補助線と交わったところと消失点を結ぶことで奥行きが分かりやすくなり、角同士をバッテンでつなぐと横壁の真ん中が分かります。(図の⑥⑦)
パースガイドができたら家具などのモチーフを描いていきます。
グリッド線に沿って家具のサイズを決めて、高さ与えてみましょう(図の①②)。それに描き込みを加えればモチーフの完成です。(図の③)
最後にパースガイド(グリッド線)の補足です。
正方形の部屋が奥行きを分かりやすく描けるので、最初は正方形の空間から試してみるのも良いでしょう。対角線を利用することで奥行きも簡単に等分できます。
背景の説得力を上げよう! 家具やドアなどのサイズ
パースは合っているはずなのになぜか違和感がある……。そんな場合は家具やドアなど見慣れた物体のバランスがおかしいからかもしれません。より絵に説得力を出すには、「サイズを知る」こと。部屋の輪郭線が描けたなら、そこに配置する家具にもリアリティを持たせましょう。
室内パースの利用した作例の紹介
今回の講座で学んだことを応用することで、2階建て・吹き抜け空間も基本通りの手法で描けます。
本来人間の目で見た風景は、パースに沿わずゆがんでいると言われます。そのため大筋のパースさえ合っていれば、細かな部分は「絵としておかしくなければ良し」です。絵は写真ではありません。
最後に
最も一般的な「一点透視図法」をご紹介しました。見せ方次第では多様な画面を作れますので是非チャレンジしてみてください。
※本記事は「室内パースの基本」より再構成
著・画 mig
Twitter:@to_to_i