今回は表情の描き方講座。
表情を描くときに「なんとなくイメージした表情と違う」、「なんだか表情が硬い」と感じる方は多いのではないでしょうか。
本講座ではキャラクターの魅力をより引き出す表情に注目し、繊細な表情の描き方を紹介していきます。
表情を描くときに意識する7つのポイント
表情を描くときに意識するポイントは7つあります。
特に意識するのは下記の4点。これらを意識すると微妙な表情の変化が描けます。
- 眉から上まつげまでの距離
- 上まつげと瞳の隙間
- 下まぶたの線
- 口の開き具合
そして下記の3点。これらを意識すると表情がより豊かに描けます。
- 瞳のハイライトの位置
- 瞳の中のベタの量
- 頬の赤み
ということで、この7つのポイントを意識しながら作例をもとに表情を描くポイントを紹介します。
眉から上まつげまでの距離を意識する
左は純粋な笑顔ですが、右は少し含みのある挑発したような笑顔です。
右の表情の眉を少しつり上げて、眉から上まつげまでの距離を長めにしてみました。眉から上まつげまでの距離を長く取ると心の余裕があるような表情が描けます。
上まつげと瞳の隙間を意識する
左は微笑むといった印象の柔らかい笑顔、右ははっきりした明るい笑顔です。上まつげと瞳の隙間を開けると目を見開いた明るい表情になります。
下まぶたの線を意識する
左の笑顔は少し硬いですが、右の笑顔は柔らかいです。下まぶたの線を少し盛り上げた曲線にすると頰が上がった印象になり、笑顔がより笑顔らしくなります。
口の開き具合を意識する
左2つは明るい笑顔、右は儚げな笑顔です。口を小さめに開くと控えめな印象になり、少し儚げになります。
瞳のハイライトとベタの量、頬の赤みを意識する
左は喜びの明るい笑顔、右は裏に怒りや悲しみが隠されているような暗い笑顔です。瞳のハイライトの位置やベタの量、頬の赤みを調整すると感情の明るさが表現できます。
表情に紐づく言葉をイメージしながら描く
続いて、繊細な表情を描く際の考え方として「表情に紐づく言葉をイメージしながら描く」があります。ここでは「擬音」と「表情を表す言葉」をキーワードに考えます。
擬音から描く
その表情をしたときに、付きそうな擬音を考えながら描いてみました。
擬音から描くときのコツは、実際に擬音を音読したときの口の形を参考にしてみると良いかもしれません。
表情を表す言葉から描く
表情を表す言葉から連想して描いてみたり、表情を向けている相手を想像しながら描いてみるのも良いです。
表情を表す言葉から描くときは具体的な感情を表す言葉から描くほかに、目を表す言葉(目を細める、冷ややかな眼差しなど)をイメージしてみると生き生きした表情になります。
さらに、相手を想像しながら描くときはその相手への好意度を考えてみましょう。
例えば、好きな相手の場合は下記の要素が挙げられます。
- 目がうるむ
- 頬が赤くなる
好きではない相手の場合は下記の要素が挙げられます。
- 眉間が狭まる
- 頬の赤みが無くなる
複雑な感情を表現する
複雑な感情を表現したいときは顔の右半分と左半分の表情を少し変えてみると良いです。
右の表情の左側の眉と口を少しフニャっとさせ、下まぶたの線を少し上にあげてみました。内心少し不安げな虚勢を張ったような印象になったと思います。
右の表情の左眉の曲線をほんの少しまっすぐにしてみました。少し寂しげな印象になったと思います。
キャラクターの性格に合った表情を考える
元気系キャラクターとクール系キャラクターの表情の描き分けを考えます。
元気なキャラクターとクールなキャラクターの表情の主な違いは下記の2つです。
- 口の開き具合
- 目を見開いたり狭めたりという緩急
元気系は口を大きく開け、目の見開きの緩急が激しく、クール系は口をあまり開けず、目の見開きの緩急が緩やかです。
感情が特別に動いた場合
感情が特に大きく動いた場合はキャラがいかにもしそうな表情の逆を描くというのもアリです。普段しない表情をさせることで特別な感情の動きを表現できます。
最後に
繊細な表情を描く1番のポイントは目元だと思うのでそこを意識してみましょう。豊かな表情を描くコツは「整えすぎない」ことです。
ちょっと崩れているぐらいが生き生きした柔らかい表情になると考えてみましょう。
著・画 川下ろっかく
フリーのイラストレーター。主にPBWで活動させていただいております。普段はpixiv等で講座と女の子描いてます。
Twitter:https://twitter.com/nagaredasu