「目は口ほどに物を言う」という言葉があるように、体の部位が言葉以上のことを物語ることがあります。複雑な形で様々なことができる手は「表情」「性格」が現れやすいです。
同じポーズでも指先の表現次第で全く正反対の印象を与えることもあり、イラストでキャラクターの性格を演出する上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
今回は手の特徴は変えずに「手のポーズ」そして「指先の仕草」だけで印象がどう変わるかを紹介します。
▼目次
感情が伝わる指先の仕草
指先は主に「開き/閉じ」「反り/曲げ」「整/乱」を組み合わせることで表情が変わります。
指の動きだけではなく、手全体のシルエットでもこの要素を読み取れるように意識して描くと更に効果的です。
指の仕草に連動して手首の角度にも変化が生じ、さらにそこから肘の角度にも影響します。場合によっては肩や他の部分にまで影響が及ぶこともあります。
途中で仕草を変更したときは、体全体の整合性が取れているか確認してから進めましょう。
コップを持つ仕草
日常でよくある、コップを持つ仕草です。
軽いものを持つときは指先で持ち、手のひらは浮いているのが一般的です。重さを支える指の本数や手首の角度で印象が変わります。
手を差し出す仕草
何かを言いたげにこちらに手を差し伸べる仕草。
指の曲げ伸ばし、開き具合でイメージがガラっと変わります。指を伸ばし手のひら全体が見えるようにすると親切な印象を与えます。
口元を隠す仕草
困ったときや驚いたときなどに口元に手をやる仕草です。
力み具合とどのくらい隠すかに感情が現れます。隠すという行為は警戒心などの表れとも取れますので、隠し具合によって社交性を匂わせることができるかもしれません。
タバコを吸う仕草
タバコを指で持ち吸う仕草です。
どんな人物像に見られたいかを考え、意識的に持ち方を変える喫煙者もいるのではないでしょうか。手のシルエットがなめらかであれば綺麗な所作に、ゴツゴツしていれば逞しく見えます。
まとめ
手は複雑な構造で様々な動きをするので描くのが難しい部位でもあります。
手の届く場所に鏡を置いて、実際にポーズをとりながら手の形を確認しましょう。鏡で見る時には、指の形だけにとらわれず全体を観察してください。
重要なポイントはいくつかあります。
- 手のひらと甲どちら側が見えているか→手のひら/手の甲/両方
- 手首が曲がっているのは→内側/外側
- 手首と4本の指の付け根ラインは→並行/角度が違う
- 親指の付け根は→手の側面にある/手のひら側に出ている
一つずつ確認してから、どの指が見えて隠れているか、指はどんな角度になっているか、細かい部分を描いていきましょう。
キャラ付けがうまい作品では、きっちりとした性格のキャラは指先の仕草も整っていたり、変わり者は妙な仕草をしていたりします。特徴的なポーズだけで「あのキャラだ!」と伝わるキャラクターも存在します。作品を見るときは手の動きにも注目してみましょう。
キャラクターの性格を考慮してどんな動きをするのか前後の動きを含めてシミュレーションしてみると、そのキャラらしい仕草が思いつくかもしれません。
著・画 山羊ヤマ
WEB:http://arcadia-goat.tumblr.com/
筋肉と獣人と少女が好きなフリーのイラストレーター。PBWやソーシャルゲームでモンスター・人外・筋肉・男性を中心に描かせていただいております。