イラストレーターのすけべ椅子さんが解説する「厚塗りでの鎧の質感の描き方 講座」をご紹介します。
西洋の鎧を題材に、金属の塗り方を学ぶ今回の講座。
■基礎編:金属の理解
STEP1 金属の特徴
STEP2 様々な金属の質感を描く
■応用編:イラストを使ったメイキング
STEP3 実践(鎧の厚塗り)
の3ステップに分かれています。
記事の後半には、Palmieが提供する解説動画もありますので忘れずにチェックしてみてくださいね。
STEP1 金属の特徴
2種類の立体で理解
金属らしい質感は、反射と明暗の幅で表現します。
具体的には
- 立体のエッジ、直線部分に鋭いハイライトが入っている
- 明暗の幅が広い
という2つ特徴を意識しましょう。
立方体と円柱は、それぞれ
- 立方体:床からの反射
- 円柱:周囲の環境が入り込む反射(映り込み)
が入っています。円柱や球体のなどの凸型の物は、周囲にある環境が映り込むと覚えておくと便利です。
「映り込み」テクニックを合わせてチェック
映り込みを描くテクニックは水や宝石などの反射する素材にも当てはめられます。合わせてこちらもチェックしてみましょう。
▼宝石っぽく見える塗り方
https://station.mugenup.com/dojo/2015/004
▼金属や宝石の塗り方講座 by あずもと
https://www.youtube.com/watch?v=sJGiJMwXykE&feature=youtu.be
STEP2 様々な金属の質感を描く
同じ金属でも、新しさや材質などにより質感が大きく変わります。
これは
- ハイライト
- 反射
- 質感ブラシ
の3つを使い分けることで表現できます。
ハイライト
- 画面左:通常の球体
に異なるハイライトを入れてみましょう。
- 画面中央:ぼやけた大きいハイライト → ザラついた質感
- 画面右:鋭く小さいハイライト → ツルッっとした滑らかな質感
になりました。
反射
映り込みを大きく、ハイライトを小さくすると鏡面加工をしたステンレスのような質感になります。画面右のように反射を減らしボケを加えると、マットな質感へ変化します。
質感ブラシ
質感ブラシをハイライトや稜線付近に使うと使用感のあるゴツゴツした感触を表現できます。
STEP3実践
ここからは、鎧の塗り方を例に金属の塗り方を実践的にご紹介します。立体を意識しながら質感を描写していきます。光源は右斜め上です。
パーツごとに金属を分ける
胸、腕、手の質感は、使用感のあるステンレス素材を表現するためにハイライトはぼかして強めに入れ、反射で映り込みを描きます。
すり減ったようなザラつきは質感ブラシで調整します。
腹部と足の質感は白いメッキのようなマットな質感にするため強いハイライト入れず、反射も弱めです。
複雑な構造は置き換えて考える
複雑な構造は、簡単な立体に置き換えて進めるとぐっと描きやすくなります。
基礎編で使用した立体を使ってみましょう。
- 頭:立方体や球
- 腕や胴回り:円柱の連なり
と捉えると、大きな明暗が掴めます。
明暗のブラッシュアップ
ソフトブラシを使い、全体の明暗をくっきりとさせます。
ここでポイントとなるのは光源を再度意識することです。
細かな描写が進むにつれて、光源が曖昧になりがちなので全体図を確認しながら進めると良いでしょう。画面右上の光を元に、画面右半身の明暗を強調し直接光を受けて光っているように見せました。
描写の仕上げ
腕の質感を強調するためにぼけたハイライトを加え、映り込みを描きます。
また、胸の稜線に質感ブラシを使い使用感がある「くたびれた金属」の質感をプラスします。
最後に、腕に旗やリボンの映り込みを入れて完成です。
いかがでしたでしょうか。金属の質感を描き分けて、絵に深みを加えてみましょう。
詳しくはメイキング動画をチェック!
動画では、上記のテクニックの他にも金属が金色だった場合の反射方法や、リボンの映り込みなどより詳しい内容が収録されています。是非、チェックしてみてくださいね。
【クリエイター紹介】
すけべ椅子