「あざとカワイイ」無気力キャラの秘密はコレ! ハッカドール3号 描き方講座
2015.10.16
今回は特別企画
ネットで話題の「リアル男の娘」白狐堂ひやさんとMUGENUPの美少女ゲーム担当のアートディレクターの対談が実現!
次元と性別の垣根を超えて「カワイイ」を多面的に探ります。
容姿や内面に関係なく、女装行為を行う男性の総称。
- Wikipedia「男の娘」より抜粋
イラストでもジャンルのひとつとして扱われています。
いちあっぷ講座でも何度か、美少女キャラの描き方を解説してきました。
美少女塗りと実際のメイクのテクニックは、似ているポイントがたくさんあります。
男の娘は女性的な可愛らしさや美しさを表現する為に、女性以上に女性らしさを客観的に研究している方が多いとのこと。
男性の容姿を女性に近づける為に
など、イラストに使えるテクニックも多数ありました。
今回は「メイク編」です。男の娘のメイクテクニックを元に、アートディレクターが美少女イラストの描き方を考えます。美少女キャラの要素を一緒に考えてみましょう!
ひや「まずは自分の顔の系統を正しく理解し、より平面的に見せるポイントを考えます。」
顔を平面的にすることで、幼さや可愛らしさが強調されます。
ひや「また、女性の顔は曲線の使い方が重要です。輪郭、目の形、唇など、あらゆるパーツになだらかな線を使うことで、女性特有の丸みが表現できます。」
金田「萌え絵は、鼻をシンプル描いて顔を平面的に見せることが多いです。目の形を円形に近づけたり、ほっぺも丸く描くなど、曲線を入れる工夫をしています。」
ひや「輪郭も男性的な顎の角ばった部分を落とし、丸みが出るように影を入れています。」
金田「メイクを着彩や色塗りと捉えるなら、女性のすっぴん(メイクをしていない状態)はキャラデザや線画に該当しますね。」
男の娘のベース作りは女性のすっぴんをイメージしながら、凹凸の無い状態を作るところからスタートします。
化粧水を塗った後、リキッド状の下地を塗ります。
ひや「ポイントは、髭を隠すために下地に赤を加えること。髭や目のクマの青の反対色を入れることで、色味が相殺される効果があります。」
今回は三善という舞台用の紅色を使用しました。一見びっくりしますが、反対色を使うのは実は理に適っているんだとか。女性の肌でも、赤みを消すのにコントロールカラーとして緑を使うことがありますね。
金田「美少女の肌塗りでも暖色の肌にオーバーレイで、ハイライトとしてふわっと薄黄緑色を入れることで、発光するような柔肌を表現するとより質感が強まる印象になります。」
このあとファンデーションを重ね、パウダーをはたいてベースは完成です。
ひや「この段階でコンシーラーを使って気になる部分をカバーします。最初から使用すると、油分が多すぎて顔から浮いてしまいますので注意します。」
男の娘メイクと萌えイラストで共通したのは、目の印象が一番重要だということ。目の仕上がりによって、キャラクターの第一印象が決まります。
ひや「顔の比率、どんな顔にしたいかによって形を変えます。萌え系の顔は曲線をいかし、綺麗系の顔は直線などの男性的な要素を入れても良いですね。」
メイクでは、今回は流行のネコ目風に目尻を跳ね上げたアイラインのあと、ブラウンのアイシャドウで濃淡を付けました。イラストでもまつ毛のキワに2影(暗い影色)を塗ると、モバイルサイズに縮小された時にも明暗差が保てるので、目の印象を残すことができます。
つけまつげはお好みで、目の上下に付けます。
ひや「まつ毛の間隔や隙間によって、印象は大きく変わります。今回はお姉さん系を意識して、目尻にボリュームのあるタイプを選びました。」
つけまつげも曲線を描くように、丸いフォルムを意識して接着します。
萌えイラストの最近のトレンドとして、まつ毛に瞳の色を載せるテクニックも多く使われています。瞳の色をスポイトツールで取り、黒目の上のまつ毛を塗ることで目元の印象が軽く、大きく広がる様な瞳になります。メイクでもブラウンのアイライナーやマスカラで目の境界線を柔らかくする効果に近いかと思います。
ひや「唇の形も、曲線を意識しながら形を作ります。」
なりたい顔の系統に合わせて、唇の比率を意識して塗ります。
ひや「例えばお姉さん系は上唇:下唇を3:2、ロリ系は上唇:下唇を3:2.5にしています。」
色合いは中心部に濃い色を載せ、端に沿って薄くなっていくようにグラデーションをかけると可愛らしく仕上がります。オススメはマットで発色が良く、ベージュピンクなどのシンプルな色合いのものが自然に仕上がるポイントなんだとか。
一方、萌えイラストの場合は唇の描写をしすぎないように注意しているという逆の意見が。
理由は、萌えイラストは10代の若い女性キャラが多い為、メイクをしているように見えるとそれだけで大人びて見えてしまうためです。
唇の印象を抑える為に
出来る限り印象を抑えるなどのテクニックを入れると、ナチュラルな少女らしい顔に仕上がります。
同様に、萌えイラストは目以外の要素をシンプルに描く傾向があります。
例えば
など、イラストを見た人が目以外に意識が向かないように配慮しています。
金田「唇や眉毛の印象が強いと、キャラクターの印象が付けられてしまいます。例えば、唇を強調するのはセクシーキャラ、たれ眉は優しいキャラ、などです。」
特徴を付けたい際には、作為的に入れてみると良いでしょう。
血色がよくなり柔肌が強調できるチーク。イラストでもメイクでも、無暗に入れてもが可愛くならないという意見が一致しました。
金田「チークを入れるのは可愛いくなることを知っている人は多いですが、なんとなく頬に丸く入れるだけではテイストが古くなりがちです。」
トレンド感のあるチークは、自然なグラデーションになる程度になる程度の薄さで、頬骨の位置に入れるのがポイントです。大き目のブラシで、目に被るくらい大きく入れるとふんわりと仕上がります。
金田「チークの研究がしっかりできている人は、美少女イラストを注意深く見ている人だと思います。キャラクターが可愛く見えるポイントを意識して探すのも重要です。」
ひや「メイクを見慣れていない男性にとって、チークの使い方を理解するのは難しいです。女性向けの雑誌をチェックすると、トレンド感もわかるのでオススメです」。
また男性の目よりも女性の目のほうが、色彩を認識するのが得意というデータもあります。「色に対する感性を磨くのも、男の娘にとっては大事な課題」と語るひやさん。唇とチークの色合いを揃えてより自然に見せる、などのテクニックも披露していました。
メイクもイラストも、ハイライトはティーゾーン(おでこ~鼻)に入れます。イラストでは弾力のある頬の質感を出すため、白に近いハイライトを入れることがありますが小さめに描き、スパイス的に使います。
ひや「メイクでは頬のふんわり感を出すために、頬骨に沿って逆三角形にハイライトを入れる場合もあります。顔に合わせて入れてみてください。」
最後にウィッグをかぶって、男の娘メイクは完成です。
3次元の男の娘のメイクと、2次元の萌えイラスト。似ているポイントもあれば、全く逆の表現もありました。今回の対談を終えてわかったことは、どちらもトレンド感溢れる「カワイイ」をチェックするために、日々ファッションやイラストをチェックし続けていること。日々研究し続ける姿勢が、メイクでもイラストでも上達の鍵になるのかもしれません。
チークの表現が一番盛り上がりました。
次元と性別を越えた「カワイイ」を探る講座のメイク編はここまで。
あなたが使っているテクニックがあればご紹介くださいね。
白狐堂ひや
twitter:@byakko_yun
website:http://byakkodou.com/
現在放映中の「ハッカドール THE あにめ〜しょん」では同じ男の娘であるハッカドール3号も活躍中!
是非こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
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