イラストはアニメのように動くことのない一枚の絵です。動かない前提の絵でもなんとか動きのある印象を付けたいときがありますよね。そんなときにどんな工夫をしていますか?
今回はちょい足しで躍動感を与える3つのコツをステップを追ってご紹介します。
コツ1:髪や服に風のたなびきを入れる
コツ2:「多方向の風」をちょい足しして自然な動きに
コツ3:「ランダム」をちょい足ししてメリハリのある自然さに
生き生きとしたキャラクターが上手に描けない方は、今回の記事を通して躍動感を描く方法を習得してみましょう。ちょっとした工夫で大きく見違えますよ!
STEP1:髪や服に風のたなびきを入れる
少女の立ち絵です。
動きのある動作として手で髪をかき上げるようなポーズをつけていますが、もっと動きをつけて躍動感を出したいですよね。
髪や服にたなびきを付けて風を表現し、動きを演出してみました。最初の絵よりは動きが出ましたが、これにもっと動きを出すことはできないでしょうか?
これ以上強い風にしたら、穏やかな表情のイメージが崩れてしまいます。穏やかな雰囲気はそのままで、もっと動きのある絵にする方法を以下で説明します。
STEP2:「多方向の風」をちょい足しして自然な動きに
STEP1で描いた風の動きを追加した絵は、髪もスカートも全部同じ方向にたなびいています。これだと動きがありつつも、いまひとつ硬い印象です。そこで、最初に決めた方向とは別方向にたなびく髪の描写を取り入れてみましょう。
風の方向を一律ではなく逆や別方向などに向けてみました。こちらの方が自然で動きが付き、ふわっとした髪を表現した仕上がりになります。
風の方向はこんな感じです。基本の風に加え、様々な方向に小さな風の描写を取り入れています。また、台風や強風など明らかに風向きが一律の場合でも、あえて逆方向を入れることで表現が広がります。
強風の場合
強い風の表現。これだけの強風なら顔にかかる髪はほとんどありませんが……
強風でもあえて逆方向の髪を足してみました。髪が舞うような動きを付けることで、より風に翻弄されている感じが出ます。
STEP3:あらゆる「ランダム」をちょい足ししてメリハリのある自然さに
服にも躍動感を加えてみましょう。例えば、制服などによくあるプリーツスカート。
動きを付けていますがすべて同じ方向、同じ幅です。プリーツスカートはそもそも折りの加工であまり動かないイメージがありますが、実は、そのプリーツのひだにあえて動きをつけることで、躍動感を出すには打って付けのアイテムなのです。
プリーツの動きに、手前や奥、めくれ上がり方などでランダムな動きを入れました。形に規則性のあるスカートにランダムさが付いたことではっきりした躍動感を表現できます。
スカートの動きを出すには、下からの風の強弱を取り混ぜながら入れることがポイント。下着が見えないようにするなどセクシー過ぎないように気を付けつつ、一層スカートの柔らかさや自然な動きを表現します。
このランダムさ+下からの動き、そして様々な方向の風を最初の少女絵に取り入れたのが下の絵です。
最初の絵より、だいぶ動きが表現できました。
ポーズが普通でも、風が強くなくても、このようにコツをちょい足しすることで自然な動きを出すことができます。画面の余白も少なくなり、より印象に残るイラストに仕上がります。
STEP4:様々なちょい足しで更に躍動感を!
今回はあまり動きのないポーズにちょい足しで躍動感を付けるポイントをレクチャーしましたが、もちろん、最初から動きのある絵やポーズでも、これらの応用で更に躍動感を付けられます。
動きのない絵に自然な動きを、動きのある絵には更に躍動感を。色々な絵に、これらのちょい足し要素を取り入れて、より絵を輝かせましょう!
著・画:両角潤香(もろずみじゅんか)
Twitter https://twitter.com/morozumix
漫画家、イラストレーター。主に角川系や電撃系の少年誌等で活動。ゲームやアプリのキャラデザインやイラストも多数手がける。
イラスト技法書制作やアミューズメントメディア総合学院講師も行っている。