背景だけでなく、人物にもパースがあることはご存知ですか?
パースのかかったアングルのイラストを描くとき、人物のアタリにもきちんとパースを取る必要があります。
ですが、パースが上手く取れていなくて「背景はともかく、人物がどことなく薄っぺらくなってしまう」という方も案外多いのではないでしょうか。
今回は、人物に立体感を出すのが苦手な方向けに「人物パースのアタリを取る」方法をご紹介します!
パースのかかったアングルで人物が平面的に見えてしまう原因
こちらのイラストに注目してみましょう。
なぜ背景は立体的に描けているのに人物だけ平面的に見えてしまうのでしょうか?
一見、人物にも全体的にパースがかかっているように見えて、細かい部位に煽りがかかっていないといった原因が考えられます。
凝ったアングルになればなるほど、正面アングルからでは描くことのない細かい部位が見えてきます。
では、実際に立体的に人物を捉えるためにはどうすればいいのでしょうか。
物をオブジェクトのひとつとして捉える
人物にアングルを加えたときに立体的に捉えられない方の多くは、人物を正面アングルの平面的な形のまま、つまり「そういう形の物」という大雑把な認識を持っているのではないでしょうか。
もちろん人体にも奥行きや向き、といった立体がありますが、いざイラストになると真っ先に失念しがちです。
そのため普段からしっかりとアタリを取って人体の立体を把握する必要があります。
そこで人体をわかりやすく四角で表現して見ましょう。
すると、不思議と画面に写っていない"裏側"が見えたような気がしませんか?
背景に合わせてパースを取る
それでは実際にパースの効いた構図のイラストに当てはめてみましょう。
背景に沿ってざっくりと大きな長方形を配置し、それを更に細かく人の形に分けて切り出します。この段階で細かく人体を描き出すのは難しいので、奥行きが分かる程度で構いません。
すると、なんとなく形が見えてきたのではないでしょうか。
それでは具体的に人体のアタリを取っていきましょう。
人体は箱のように角がないため為、背景のようにパースを捉えにくいですが、要は人体も背景と同様にパースがかかるのです。
人体の構造を部分ごとにひとつのパーツとして、立体を頭の中で捉えることができるようになれば、自然と立体的な人体が描けるようになるでしょう。
いかがでしたか?
頭の中ではわかっているようで、実際に形に描き出してみると自分が思っている以上に人体は複雑です。
しかし今回の講座でお話ししたように人体をざっくりとオブジェクトの集合体として捉えるように意識をすれば、パースのかかったイラストにも一段と説得力が出てきます。
人体に説得力を持たせるためには他にも色んな描画方法がありますが、簡単なひとつの方法として頭の中に置いていただけると幸いです。
[著・画:漆原六花(うるしばらりっか)]
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2015年1月からフリーランスで活動を始めた駆け出しイラストレーター。
どこまで行ってもゴールなんて無いお絵描きというジャンルにやり甲斐を感じています。