簡単3ステップ!「グロー効果」を使った仕上げ講座
2015.07.14
丁寧に描いたイラストなのに塗りと線画が馴染まず、意図もせずに、なぜか塗りと線画が別々のような印象になってしまうと残念ですよね。
近年のイラストテクニックのひとつに、塗りと線画を馴染ませる効果がある「色トレス」という技があります。色トレスを使うことでイラストに柔らかい雰囲気を持たすことができ、仕上げとして使われることが多いです。
例えばこちらのイラストで、色トレスのBefore-Afterを比べてみてみましょう。全然印象が違うように見えませんか? 特に水や毛先のような柔らかいものは輪郭線がハッキリし過ぎると、硬く見えてしまうので色トレスをすることをオススメします。
今回は、そんな仕上げテクニック「色トレス」のやり方をご紹介いたします。
はじめに実例を見て、なぜ線画と塗りが馴染まないのか考えてみましょう。
迷い線の少ないしっかりと描かれた線画と、ブラシ塗りや中間塗りのようなテイストを合わせてみました。ブラシ塗りは比較的柔らかい印象を与える塗り方です。
しかし、このふたつを組み合わせると、くっきりとした太い線画の存在感がせっかくの塗りの柔らかい印象を潰してしまうことがあります。
その原因は線画と塗りの明度の差です。
分かりやすくイラストをモノクロにしてみましょう。
いかがでしょうか?
カラーの時は、くっきりしているように感じた陰影がモノクロにしてみると思っていたよりも淡く、線画の色だけが露骨に浮いていますね。
また明度の差も線画がずば抜けて暗く、イラスト全体の色彩のバランスを崩してしまっています。
では、一体どうすれば線画と塗りをなじませることが出来るのでしょうか?
線画と塗りが馴染まない原因が"塗り"ではなく"線画の明度"にあるということが分かったところで、その状況を改善する"線画の色トレス"という方法をご紹介致します!
まずは、色トレスについて理解しましょう。
色トレスを使えば硬く重たい印象を与えていた線画が上手く塗りに馴染み、塗りの柔らかい印象を活かすことが可能になります。
また、真っ黒で単調だった線画に色相と彩度を加えることによって物の質感や透明度なども引き出すことが出来ます。
具体的に線画に色トレスする方法は2つあります。
1.線画レイヤーを不透明度保護状態にし、線画に直接色を付ける方法
2.線画レイヤーに新規レイヤーをクリッピングし、新規レイヤーに色を付ける方法
どちらも基本的には同じ内容ですが、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット:レイヤー枚数を最少に抑えられる
デメリット:線画に直接色を塗ってしまうため元の線画の色が消えてしまう
メリット:元の線画の色を残したまま色を付けられる
デメリット:レイヤー枚数が多くなる
臨機応変に自分の思考にあった方法を選んで使っていきましょう。
それでは実際にイラストの線画に色トレスをしてみましょう。
線画の色を選ぶ際は隣接した色に溶け込みすぎないように意識してなるべく濃い色を選びましょう。
色トレス前に比べて、随分と柔らかい印象になりましたね。
しかし人物の表情を注目すると、目は黒ベタが多く、そのまま肌の色をトレスするだけではキャラクターの顔の印象そのものを変えてしまいがちです。
表情の線画に色を付ける際は特に注意して丁寧に進める必要があります。
目尻にほんの少しだけ色を入れるだけでも顔が肌と馴染み表情もやわらかく見えるようになります。
紹介した線画の色以外にも、対象物によって線画の色の彩度や明度を変えることによって質感や透明感などを表現することが可能です。
この様に線画の色トレスとは一見簡単な作業ではありますが、その分イラストの完成度に関わる非常に繊細な部分でもあるのです。
線画と塗りには相性がある為、線画にほんの少し工夫を加えることでイラストのクオリティを格段に上げることが出来ます。
逆にアニメ塗りなどのパキッとした塗りの場合は、塗りがシンプルな分、線画で立体感を表現するために線画の存在感を尊重しなければならないこともあります。
また、色トレス以外にも線画と色をなじませる方法は他にもあります。
その辺りを上手く見極め使い分けが出来るよう、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
[著・画:漆原六花(うるしばらりっか)]
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Twitter https://twitter.com/Ul_rica
2015年1月からフリーランスで活動を始めた駆け出しイラストレーター。
どこまで行ってもゴールなんて無いお絵描きというジャンルにやり甲斐を感じています。