日々是一筆入魂な皆様、度々失礼いたします。イラストレーターの山代です。
今回のテーマは3Dです。
今日び、珍しくもなんともないテクノロジーですが、未だ3D未体験(重言)の方へ向けて導入に至るまでの前知識や心構え的なモノを僭越ながら紹介しています。
このエントリーを機に絵画制作系ジョブの追加スキルとして、3D制作にスキルポイント割り振ってみてはいかがでしょう?
いつも以上にお呼びじゃねー感溢れる内容になっとりますが、オノレの表現にマンネリを感じ始めた方は要括目。
3Dソフト、色々あるけどどれ選んだらええんじゃい
お絵かきツール同様、3Dソフトもいろんな会社が出しております。その中でも知名度や価格帯別に以下に4つ程挙げてみます。
MAYA(年間約25万円[30日間無料体験版有り]/学生向け3年間無償有り)
画像引用元:MAYA|http://www.autodesk.co.jp/products/maya/overview
モデリング(造形)からアニメーション、マテリアル(質感)やエフェクト、レンダリング(書き出し)までおよそ3Dでできることの大抵はこのソフトだけでできます。
ただ、機能を拡張したり高度な処理をしたりするためにプログラムを書く必要があり、ツール自体の自由度は高いものの一個人で網羅するにはわりと人生を捧げる必要があります。
できることが膨大なので、MMORPGとかで「何からやれば良いか判らない」とか思っちゃう方には少しとっつきづらい部分もあるかもしれませんが、やってくうちに自分に必要なモノが判ってきます。
とても機能が多いので、恐らく一生知らないまま制作者人生を終える機能もあるでしょう。
3ds Max(年間約25万円[30日間無料体験版有り]/学生向け3年間無償有り)
画像引用元:3DS MAX | http://www.autodesk.co.jp/products/3ds-max/overview
上記のMAYAと同じ会社のソフトです、できることも概ね同じです。MAYAと異なる点は他社製プラグインの豊富さでしょうか。
複雑なエフェクトなんかもプラグイン一発で出来上がったりするので、そういった意味では手が出しやすいです。
金銭的に余裕があってややこしいことはあんまりしたくない方にオススメ。
Lightwave3D(約15万円[30日間体験版有り]/学生・教員版3.8万円)
画像引用元:Lightwave3D|http://www.dstorm.co.jp/dsproducts/lw2015/index.html
上記2つに比べると圧倒的に安いにも関わらず、3D制作に必要な一通りの機能が備わっています。導入している企業もそこそこ結構あるので、参考資料なども豊富です。
主にキャラクターのアニメーション機能については若干弱い部分があるものの、本格的に動画制作に手を出さない限りその弱さに気付くことは無いでしょう。
Blender(0円)
画像引用元:Blender|https://blender.jp/
タダ、なのに一通りできる。が、インターフェイスに独特のモノがありとっつきづらい部分があります。
ネット上で閲覧できるチュートリアルも充分とは言えず、あったとしても英語ページだったりします。
多くの制作会社は上記に挙げた有料のソフトを導入していることがほとんどですので、3Dにどっぷりハマってその手の会社に就職したくなったりすると覚えなおしになりますが、絵描きの補助ツールとして使う分には充分でしょう。いろんな3Dソフトのファイルが読み込めます。
3D導入パターン
以下は、ボクがイラストレーターとして3Dソフト(掲載画像はMAYA)を導入した際にどのような活用があるかを挙げたモノです。
キャラクターのポージングや複雑な形状をしたオブジェクトなどを描く場合の参考にする
例えば人物や動物、車など複雑な形状をしたモノに、自由な動きをつけて自由な角度から眺めることはもちろん、線画での出力なども可能です。
実際の骨格や形通りに描くだけがイラストではありませんが、3Dモデルを参考に絵を描けば説得力のある構図も容易に得られるでしょう。
当然、貪欲な皆様はツールを触るうちにより突っ込んだことをしたくなるでしょう。
モデルデータの別利用
一度モデルを作ってしまえば別の絵などで使いたいときにもすかさず流用が効きます。
もしあなたの描く絵に、ジョン・ウー監督の映画に登場する鳩みたいに繰り返し何度も幾つも登場するようなモチーフがあったりする場合、1羽だけ鳩を作って流用することも可能です。
手で描いた静止画のコピペでは同じ角度・ポーズのコピペになりますが、3Dであれば角度もポーズもバリエーションが出せます。
草生えるwwwwwwwwwwww(MAYA paint effects)
paint effectsとはMAYAに搭載された機能で、ブラシでなぞった箇所に草とか毛とか花とか雲とか火とかを生成するプログラムです。
制作時間わずか1分程度で以下のような草原が描けたりします。もちろん好きな角度で出力できるので、背景制作の工数を劇的に減らせる場面もあります。
デフォルトだとそれなりに写実的なタッチで描画されるので、自分のタッチに合わせて適宜の工夫を覚える必要はあります。
全部作る
著者の山代はキャラから背景から全部作って静止画として出力しています。その為、イラストにしては無駄に手がかかってます。
しかし構成要素が同じであれば、以下の画像のようにさほど時間をかけずに全く異なった構図を出すことも可能です。
人生をやり直す
例えばアナタがイラストレーターとして挫折してしまったとします。親が金持ちで子供に甘く長生きしてくれるのであれば構いませんが、そうでない場合オノレで口を糊しないといけません。
そんなとき、3Dソフトに慣れていれば履歴書を送る先がグンと増えるでしょう。
デメリットもある?
かまけすぎると画力の上達が遅れる
まだ基本的なデッサン力が完成していない方は、手で描けば描くほど基本能力が上がりまくる段階にいます。
そういった方は手描きの時間を削ってまで3Dに手を付けるのではなく、手描きの合間の小休止的に3Dをイジるのが、イラストレーターとしては良いでしょう。自分で書いてて耳が痛いです。
途中経過を見せづらい
イラストの主体となる人やモノから背景まで全て3Dで作る場合、質感やタッチなどの最終イメージが判るのはレンダリングの後ということになります。
3Dでモノを作る場合そこに至るまでのモデリングやテクスチャの作成などに結構な時間がかかっていますので、途中経過をお客に見せても完成イメージが掴みづらいです。
最初っから全部任せてくれるほど信頼関係が出来上がってるお客さんであれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は手描きの構想スケッチと完成事例のポートフォリオを併用するなどしてお客の不安の払拭に努めましょう。
どっかで見たような印象になる
個性や自己表現を求めてイラストを描いていない方はどうしたことない事案ですが、そうでない方はどうやって自分のタッチ的なモノを3Dオブジェクトに宿らせるか頭を捻るハメになるでしょう。
一概にデメリットとも言えませんが、場合によっては大きく作風を変えることになるかもしれません。
以上、今回はココまで!
コレを読んでくれているアナタがもし、これからの制作者人生に不安を覚えていらっしゃるようでしたら、なんとなく3Dを始めてみてはいかがでしょうか?
たとえ自分だけの表現が見つからなくても、代わりに一生涯のシゴトが見つかったりするかも知れません。
著・山代政一
WEBサイト: http://www.antialias.tokyo/
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京都生まれ東京都在住のイラストレーター及びデザイナー。
引きこもりの幼少時代に養った卑屈な精神を、どうにか生産的なものに転化するため美術に目をつける。学生時代Photoshopでデザインを始めたと思ったら いつのまにかMAYAで画を描いていた。3Dソフトで静止画を描くという歪んだ制作スタイルは、見る者に一定の混乱を与えることに成功している。正座が苦手。