油絵の具を厚く塗り重ねたような、重厚感のある塗り方が「厚塗り」です。 「線画が目立たない」「レイヤーを分けない」「筆跡を残す」など思われがちですが、実は明確な決まりはありません。透明感のある塗りや、荒々しい筆跡を残す塗り、滑らかに仕上げる塗りなど様々です。
今回は初心者にも挑戦しやすい、アニメ塗りを基にした厚塗りの方法を紹介します。
<目次>
1. 厚く塗る為に「色を混ぜる」
2. 下準備
3. 陰影の付け方はアニメ塗りで
4. 厚塗りは「面」
5. 質感の表現
6. 仕上げ
7. まとめ
1. 厚く塗る為に「色を混ぜる」
重厚感を出す為には、ベースの色に影やその他必要な色を加え、色を混ぜながら塗っていきます。色を混ぜるには「不透明度を低くする」「混色をONにする」「色混ぜツール(指先ツール)を使う」など様々な方法があります。また、混ぜ方によって質感も変わってきます。
「塗って混ざった色をスポイトで拾い、さらに塗り進める」ということを繰り返します(キーボードのaltキー ※Macではoption を押しながらクリックすると素早くスポイトが使えます)。
こうして塗り重ねて色を作っていくため、最終的にはレイヤーを統合して進めることになります。
2. 下準備
線画を用意し、下塗りをします。「線画」と「塗り」のフォルダに分けておきます。 他の塗り方と同じように色や質感ごとにレイヤーを分けましょう。分けておくことではみ出しなどを気にせず塗ることに専念できます。
「塗り」フォルダにシルエットをマスクし、レイヤーの一番下にベタ塗りレイヤーを作ります。こうすることで何度もアウトラインを整えなくて済みますし、隙間があった際に背景などが透けてしまうことも防げます。塗り分けができたら「透明部分の保護」をONにするのを忘れずに。
また、拡大しながら塗っていても全体像が見えるように現在のウィンドウを複製しておくのがオススメです。
「ウィンドウ」→「キャンバス」→「新規ウィンドウ」でウィンドウを複製、「ウィンドウ」→「キャンバス」→「並べて表示」(もしくはタブをドラッグ&ドロップして端にくっつける)でウィンドウを並べます。
3. 陰影の付け方はアニメ塗りで
まずは全体の陰影を作ります。 「ベースに直接塗る」「ベースレイヤーの上に影レイヤーを作る」どちらでもやりやすい方法を選んでください。
この時点では厚塗りを意識しなくて大丈夫です。 光源を決め、柔らかく大きなブラシで大まかな陰影を決めます。
次に、おおまかな影をアニメ塗りのつもりではっきりと置きましょう。影が黒っぽくならないように気をつけて下さい。
髪や瞳にハイライトを加え、顔を中心に全体の立体感が見えてくるまで細かくしていきます。
全体がまとまったら陰影の完成予想図としていつでも確認できるよう、「線画」「塗り」フォルダを複製し統合、縮小して画面の端の方に置いておきます。
これを確認しながら進めることで、塗ることに集中しすぎて全体の陰影があやふやになってしまうのを防ぐことができます。
4. 厚塗りは「面」
線画フォルダを乗算にし、不透明度を30%〜50%に下げます(塗る際に線画が見える程度の濃さ)。線画の不透明度を下げることで陰影を重視した塗りにしやすくなります。
先ほどの陰影を元に塗り進めます(※ベースと陰影レイヤーを分けていた場合は統合します)。
まずは一番注目される「顔周り」、特にキャラの印象を決める「瞳」を早い段階で塗っておくと、キャラクターの雰囲気や表情がわかりやすくなり陰影の雰囲気も掴みやすくなるかもしれません。
主線があるところは「色の差」がある所です。隣り合っている部分に「距離や段差があって明るさが異なる」「色が違っている部分」があると境界線ができます。
アニメ塗りの要領で主線に沿って影などを入れ、主線から遠い側をなじませて整えます。 主線の部分だけでも陰影をパッキリ分けるように意識しましょう。
5. 質感の表現
ブラシを使い分けることで質感を変えることができます。 主に『筆圧によるサイズ/不透明度(又はブラシ濃度)の変化』『硬さ(ふんわり/くっきり』を使い分けられれば、いろんな表現ができます。
ハイライトの入れ方でも質感が変わりますし、テクスチャや合成モードを使うのも有効です。 目立つ一部分だけに質感を書き込むと全体もその質感にみえてきます。
6. 仕上げ
全体が塗れたら、線画を80%〜100%に戻します。
線画の色を変えたり(または色トレス)、リムライトを加え、オーバーレイなどで色合いを調整して完成です。
7. まとめ
線画レイヤーを非表示にしても立体的に見えるまで描き込めたら、引き締まった陰影になっているはずです。 アニメ塗りは陰影を把握するための基礎です。影のつき方がわからない時にはアニメ塗りで練習してみましょう。
レイヤーの構成や、進め方、どのブラシを使うか等は環境や好みなどに依存する部分が多いので、やりやすい方法を探してくださいね。
著・画 山羊ヤマ
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筋肉と獣人と少女が好きなフリーのイラストレーター。PBWやソーシャルゲームでモンスター・人外・筋肉・男性を中心に描かせていただいております。