今回の特集は女性キャラのメイクアップ(化粧)です。
メイクと聞くと、縁遠く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は女性キャラクターの顔を描き分けたり、キャラクター性を引き出すアクセントを加えたりするには、メイクアップの知識が役に立つのです。
今回はイラストやキャラクターデザインに応用できるメイクアップ術を5種類紹介します。
下のノーメイクの女性の顔がメイクでガラっと変わります。自分が描く顔にマンネリ化を感じている方、新しい雰囲気のキャラクターに挑戦してみたい方にオススメです。
1.ナチュラル&イノセントメイク
ブラウン系やピンク系を使った、汎用性の高いメイクです。少女、お姫さまなど、ピュアで色素が薄い清楚な感じを際立たせるのにはぴったりです。
作例解説
実際のメイクではアイライナーやマスカラ(まつげを強調するためのもの)は黒や焦げ茶などの暗めの色が主流ですが、今回は目の際に細く、明るめのブラウンを使っています。
二重(ふたえ)の部分に、血色に近い赤味のあるピンクを差し、 アイホール(眼窩全体の領域)の外側に向かうにつれて薄いピンクになっていくようなグラデーションアイシャドウを加えました。
リップ(唇)は同じように赤みのあるピンクを控えめに差しました。チーク(頬の差し色)も同様な色で、頬骨の高い位置に置いています。
作例では分かりやすいようにはっきりとつけましたが、狙った効果によっては、はっきりと認識できないくらいの柔らかい色遣いにしてもよいでしょう。
カラーメイク
鮮やかな色を使ったメイクです。ポップで明るい印象を与えます。人間の血色から大きく離れた色を使えば、非日常感も与えられます。
ファンタジーものの妖精やSFの宇宙人など、現実離れしたキャラクターに応用すると面白いかもしれません。
作例解説
今回はグリーンをアイシャドウに使用します。グリーンはメイクでは案外汎用性が高いのですが、アイホール全体にべったり使ってしまうとしつこくなってしまいがちです。
派手な色は使いすぎず、こちらの図のように目尻と、お好みによってアイホールの上側にちょっとだけ色を入れるとほどよいアクセントになります。
目頭には黄色、下まぶたのキワにはオレンジを今回は差しましたが、全く違う色を使って色で遊ぶこともできます。
チークとリップには、蛍光色に近いオレンジを差しました。ちぐはぐな色を使用しすぎるとピエロのようになってしまい、キャラクター性によっては、デザインの方向が違ってしまう可能性があります。
試行錯誤しながら自分なりの気持ちいいバランスを探してみてください。
ダーク系メイク
魔法使いやダークヒロイン、悪役に使えそうなメイクです。ゴシック風の雰囲気を出したいときにも使えます。
きりっとしたメイクなので、クールな大人の女性に使用すると良いでしょう。
作例解説
目の周りはアイホール全体を暗めの色(今回は紫)で囲んでスモーキーアイ風にしました。
アイラインは黒でくっきりと、上まぶたと目尻を囲い込むように引きます。まつげも上まつげ下まつげ両方、長めにはっきりと描きます。
上図で示したように、眉毛は眼窩の骨の上にかかったあたりにあるのですが、そこをアーチの頂点として、輪郭がはっきりとした眉を描くと、大人でミステリアスな印象が引き立ちます。
チークは頬骨を囲むように、アゴにかけ、顔の立体感にそって肌色に近い赤茶系の色を入れます。
唇は、ボルドーなどの暗い赤、または赤紫色のリップでくっきりとした輪郭を出します。絵柄にもよりますが、下唇を上唇の1.5倍の厚さにすると、セクシーな印象が強まるのでオススメです。
キャットメイク
ズル賢そうでコケティッシュかつ、ちょっとお茶目な雰囲気を出したいときにぴったりです。怪盗風や、カジノにいる女性などに使えそうです。レトロな雰囲気も出せます。
作例解説
眉毛は上のダーク系メイクの眉毛に似ていますが、こちらはアーチが緩やかです。
特徴的なのは、太めのアイラインが目尻で上がっている感じです。こちらの上まつげも長く描くのですが、特徴的なアイラインのデザインを邪魔しないような適度な長さにするのが私の好みです。
黒色のラインを引き立たせるために、アイシャドウは薄めの色とし、今回は銀色がかった水色にしました。
リップスティックは鮮やかな赤色で、ダーク系のようなくっきりとしたリップラインを引き、レトロでしゃれた感じに仕上げました。
純朴すっぴん系メイク
最後におまけで、メイクをしていないように見えるメイクです。若い田舎娘のように、飾らないけれど魅力があるような純朴さを演出するメイクのかたちも紹介します。
作例解説
鼻梁(びりょう)から頬に描けてのエリアにそばかすを描きます。また、同じエリアに、赤ら顔を演出するために、あえて鼻と頬の正面部分にかけて、真っ赤で透明度のあるチークを入れます。
今回の作例のように、眉毛も頻繁に手入れがされていないように見せるために、薄く、毛足が長いように描くと効果的な場合もあります。
睫はカールして真上を向いているようにすると、お人形のようなかわいらしさを作ることもできます。
唇も輪郭線をきっちりかかず、作例のようなグラデーションにすると、自然な印象で口元を強調することができます。
まとめ
いかがでしたか? 各メイクアップスタイルの違いを理解し、自分なりにデフォルメすれば、頬の差し色やキャラクターの目の縁の形状など、キャラクターデザインの引き出しの中身が増えます。
キャラクターが常にテンプレ顔&すっぴんの方は、是非これを機にメイクに挑戦してみてくださいね!
著・画:ユーコ・ラビット
ゲーム会社にてイラスト制作業務を担当しながら、フリーランスのイラストレーターとして活動中。書籍やCD用のカバーイラストやPhotoshopなどを使ったCGイラストのメイキング記事の執筆などを行う