イラストを制作する上で、意外に悩むのが「線画でどこまで表現するか」です。
描いたラフを清書する線画工程ですが、ラフのときに描きこんだシワなどの細かな表現をどこまで線画で表現すればいいのでしょうか? 線画で表現せずに塗りで表現がするといった手段もあるので悩みがちなところです。
そこで、今回は「どこまで線画の描き込みをすれば良いか考える」をテーマに述べていきます。
▽目次
どこまで線画の描き込みをすれば良いか考える
4つの線画の描き込みの例をもとに、線画の描き込みについて考えていきます。
シルエットのみの線画
シルエットを追った線画です。極力最低限、状況がわかる程度の線だけの状態にしています。
これだと線画の情報量が少ないので、塗りに入ると形を捉えることや凹凸、質感といった流れを追いにくく、無駄に時間がかかってしまうこともあります。
髪やシワの流れを描いた線画
線画の描き込みを増やしました。ある程度、髪の毛の流れ、服のシワ、肌の凹凸を描いています。
このぐらいの線画が描きこみが汎用的なのでオススメです。アニメ塗りから厚塗りまで、幅広く対応できます。
ポイントは「塗るときに形を追いやすくするために、主要な線に比べて細く薄い状態にする」ことです。
一部、影を描きこんだ線画
さらに、線画の段階でもう少し踏み込んだ描写しました。髪の毛、服のシワには影を足してあります。
この程度の描き込みならば、着色した際も特徴として残せます。しかし、描写が見えづらいので重たい厚塗りには向かないです。
陰影も描きこんだ線画
陰影を追って、かなり細かく大量にタッチを入れました。
漫画を参考に絵を描いてきた人はついついやってしまいたくなる描写ですが、ここまで線画を描きこむと、塗りはオマケ程度の薄塗りしか適さないでしょう。
顔の線画の表現について
次に、顔の線画について考えてみましょう。この二つの画像を見比べると、だいぶ印象が違うと思います。
右図は線画で影を追いすぎているので、描写がくどい印象です。そして、線画で描きたくなってしまうのが鼻の線です。これは、色を塗るときの邪魔にしかなりませんので、あとで消すか、描かないようにしましょう。目の周りも同じように描きたくなってしまうところですが、グっと我慢です。
最後に
線画どこまで描くべきか、段階を追ってみました。
一体どこまで描くのが正解か、決まりはありませんが、着彩との兼ね合い、バランスは非常に重要です。せっかく線をかいたのに完成したら見えなくなってしまったなど、よくあることだと思います。
どこまで塗り込みたいのか、よく考えて制作していきましょう。
著・画 なぎかわみん
フリーのイラストレーター。主に広告系イラストとソーシャルゲームイラストを制作させていただいております。
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