屋根は背景で描くことが多い重要なパーツです。
今回は、2点透視を使った屋根の描き方について、背景イラストレーターの有馬憲吾さんが解説します。屋根の基本の描き方と、3種類の形状を覚えましょう。
記事の最後には詳しい動画解説があるのでチェックしてみてください。
▼目次
2点透視を使った屋根の基本的な描き方
今回使用する機材とアプリはiPadとProcreateですが、パソコンを使ってCLIP STUDIO PAINTやPhotoshopを使って描くことも可能です。
(1)屋根を乗せる建物を描く
2点透視用の描画ガイドを作成し、屋根を乗せる家の部分を描きます。
少し見下ろした角度で描くことにします。
四角形のブロックが描けたら、不要な線を消します。
(2)屋根を描く
手前の四角形の対角線を描いて、面の中心を見つけます。
対角線の交点が中心なので、そこから上に垂直線を描きます。
屋根の高さを決めます。そこから、四角形の頂点に向かって斜めに線を下ろします。これで手前の側面が描けました。
屋根の頂点から、右の消失点に向かって線を伸ばします。
四角形の左下の頂点からも、同様に消失点に線を伸ばします。
左の消失点からも、頂点へと線を伸ばして奥の四角形を描きます。手前の四角形と同様に対角線を描いて、真ん中を出します。
そこから上に垂直線を描きます。消失点から伸ばした線と交わる場所で、屋根の高さが決まります。そこから、左右の四角形の頂点に向かって線を下ろします。
屋根ができました。不要な線を消しましょう。
(3)パースで角度を決める描き方
左の消失点(図のVP1)から、垂直の補助線を上下に伸ばします。
表側の屋根の頂点から建物に下ろした斜めの線が、同じ消失点(VP3)に集束することがわかります。
裏側の屋根も同様に、下方の消失点から伸ばすことができます。
この補助線を使った描き方では、変形の屋根を描くこともできます。
▲アイレベルを変えた作画例
屋根以外のものを描くときにも応用できます。
日本建築の屋根の種類
家が描けるようになったら、屋根の知識を深めてみましょう。今回は3種類の屋根について紹介します。
(1)切妻(きりづま)屋根
代表的な屋根です。先ほどと同様の方法で形をとります。四角形のブロックの上に三角形のブロックを置きます。
ポイントは雨風から建物を守るため、屋根を外側に少し伸びた描写にすることです。
右側は少しリアルに作画した図です。
- 棟(むね):屋根の中央で合わさっている一番上の部分です
- 破風(はふ):屋根の下にある厚みのある部分です。ここに瓦やトタンが乗ります
屋根の部位はたくさんあるため、名称は覚えなくても問題ありませんが、部位の存在を知っておくと描くときの参考になります。
(2)寄棟(よせむね)屋根
切妻屋根の屋根は2面ですが、寄棟屋根は4面あります。
側面から見ると、切妻屋根の屋根部分は垂直になっていますが、寄棟屋根は斜めになっています。
- 棟(むね):切妻屋根よりも内側から傾斜が始まります。
- 降り棟(くだりむね):棟からくだっている部分です。
ポイントは切妻屋根と違って、側面にも屋根があるため、すべての面を同じ素材で描くことです。また、屋根の一番下の部分に厚みを持たせましょう。
今回は、見かけることの多い、スレート屋根(屋根材の種類)で描きました。ざらついた素材感にするのがコツです。
(3)入母屋(いりもや)屋根
神社や昔の武家屋敷でよく見ます。切妻屋根と寄棟屋根を合わせたような形状です。昔ながらの家を表現したいときに描きます。
- 棟(むね)
- 降り棟(くだりむね) ※ない場合もあります
- 隅棟(すみむね)
瓦にはいろんな種類がありますが、基本的には波打っている形が重なっているのが特徴です。特に屋根の一番下には厚めの瓦が使われているので意識しておくと説得力のある屋根が描けます。
さらに詳しく学びたい方は解説動画をチェック
こちらの動画を見ると、まとめと作画工程を見ることができます。より理解を深めたい方は是非ご覧ください。
記事元の著者:有馬憲吾
印刷会社を退職後、友人とデザイン会社を設立。現在イラストレーターとして活躍中。
モットー『なんでも楽しくやる』
座右の銘『面白き事も無き世を面白く』
イラスト、デザインのお仕事は随時受付中です。
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