影の描き方や影色の選び方を知ろう!「影の描き方」(前編)
2025.10.14
ばななふぃっしゅさんによる『影の描き方【初心者必見】』の動画をもとに、影の描き方をご紹介します。前編と中編では、影の基本的な原理、そして様々なシチュエーションでの影色の選び方を解説しました。
後編はいよいよキャラクターのイラストに影をつけていく実践形式のメイキングです。最後までご覧になっていってください!
▼目次
影をつけるメイキング
はじめに
1影
色の調整
2影
グラデーション
照り返し
まとめ
今回はどんなところにどんな影ができるのかを、こちらのイラストを用いて実践形式で説明していきます。

前編と中編で解説した知識を総動員してイラストに影をつけていきます。
今回使用するペンは
・Gペン
・エアブラシ
・ぼかしツール の3つです。

この解説の手順をなぞって真似しやすいよう、簡単なペンだけで描いていきます。影をつける手順としては、1影、2影、グラデーション、照り返しの順番です。1影とは、太陽光の当たらない最初につける影のことです。

2影は、照り返しや環境の光が届かない影の中の影の部分のことです。

グラデーションは、1影と2影をつなぐ部分のことです。

それでは、こちらのイラストに1影をつけていきます。

使うレイヤーは乗算レイヤーです。まずキャラクター全体を塗りつぶします。背景は青い空なので、使う色は青みのあるグレーです。

太陽光が右上から入っていると想定して光の当たる部分を大雑把に消していき、徐々にディティールを整えていきます。

影は多めの方がドラマチックに見えて見栄えが良くなるので、今回は影を多めにします。正面の立ち絵などキャラクターのデザインを見せたいときは影は少なめにするのがおすすめです。
左側が全て影だと単調になりのっぺりとしてしまうので、顔の正面にある毛束の辺りや、指の上側などにも光を入れています。

他にも、シルエットを分かりやすくするために光を入れていきます。例えば、服の袖とマフラーは同じ白色なので、遠近や輪郭を出すために光を入れます。
手前の袖のところに光を入れることでシルエットを出して、奥のマフラーと区別できるようにしています。

これで1影は終了です。現時点でどこに影が入っているか細かく見ていきましょう。
まずは髪の部分に注目してください。

影の境目は毛束のエッジの線を入れつつ、柔らかく見せたい部分はぼかしています。
この影は、風に吹かれた髪が作る落ち影や、髪の流れを見せるための影です。

奥行きを見せるため、頭の後ろの方に見える毛束の裏側や、後ろ髪の内側が見えているところにも影を入れています。


次に肌の部分。頬のところで明暗を分けることで立体感を出し、境目を少し削って肌の質感を表現します。
眼鏡と髪が顔に落とす影を入れ、耳の中、首にも影を入れています。このとき、髪の落ち影は遠くなるにつれてぼかしています。

次はマフラーの影です。前編で解説した通り、影の境目で質感を表現しています。

マフラーの下側は、Wの形に削ることでマフラーの立体感を表現しています。

次に服の袖の部分です。上側の部分は削って布っぽさを表現し、

下側はぼかすことで布がふわっと膨らんでいることを表現しています。

ここで影をつける際の、立体感をプラスするちょっとしたテクニックをご紹介しておきます。
こちらをご覧ください。髪の毛に影が入っていますが、この状態だと平べったく見えると思います。

この影に丸みをつけてみると、どう見えるでしょうか。

円錐のような丸みのある立体感がプラスされたように見えるかと思います。今回のイラストでは、頭、指や腕の丸みの部分に使われています。

この方法はスカートなどを描く時にも落ち影でよく使います。太もものような丸みがあるものは、その立体感を表現するために円柱のパースを意識して影をつけてみましょう。

影を一通り描き終わったら、影の色を変えて調整します。

特に肌は血色を良くするために、影の色を赤っぽい色に変えることが多いです。

他にも、元々の色が白色などの明るい影は気持ち薄めに、黒色の影は気持ち暗めにすると、経験的にバランスが良くなる気がします。
白色は色を反映させやすいので、彩度を上げて青っぽさを強くすると青空の環境にいることが分かりやすくなります。
色を変えたら影の境目にオレンジ色を入れていきます。このときのペンは透明度を下げたGペンやエアブラシを使います。

1影を入れ終わると、このような状態になりました。
それでは次に2影を入れていきます。
マフラーの下や服のシワが深いところ、1影の中でも特に奥の方の場所などに2影を入れていきます。

2影の面積は小さい上に暗いので、選ぶ色は暗い色であればあまり違いはないのですが、ある程度下の色に色相を合わせた色にしましょう。
例えば、今回は青い影の中に2影を入れるので、青い色相の色を使っています。

肌の2影は赤に近い色を使っています。

それでは、どんなところに2影が入っているか見ていきましょう。髪の毛で2影を入れたところは、髪の毛の流れの影、髪の落ち影、後ろ髪の暗い部分などです。

顔で2影を入れたところは、耳の暗い部分、首の下、眼鏡の落ち影などです。

身体の2影は、手の暗い部分、マフラーの落ち影、服のシワなどです。

次に、グラデーションを入れます。まず、腕の向こうはかなり光が入りづらいので、胸元が暗くなるグラデーションを入れていきます。

さらに服の立体感を増すようにグラデーションを入れたり、マフラーにもグラデーションを入れた後、削って質感を足しています。

髪も立体感を増すために、頭の丸みや後ろ髪のあたりにグラデーションを入れています。


次に、照り返しを入れます。地面は雪が積もっていると想定しているので、白色を使い、スクリーンレイヤーで描いていきます。
右上からの光なので、髪には左からの照り返しの光を加えます。

袖にはシルエットを際立たせるための照り返しを入れます。

そしてイラスト全体には、下側からの照り返しを入れています。

これで影の全工程が終了です。影を付けることで、その空間に差し込む光や存在感が伝わる絵になったのではないでしょうか。

前編・中編・後編と、3回にわたって解説してきた「影の描き方」はこれで終了です。影をうまく表現してキャラクターと背景が馴染んだイラストを描いていきましょう!
こちらの動画では、実際に描き込む過程と詳しい解説を聞くことができます。より理解を深めたい方は是非ご覧ください。
フリーランスイラストレーター、youtubeでイラスト講座の動画を投稿。
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