いちあっぷ講座のおかげでガンガングイグイ成果物のレベルが上がったりしてきて、「そろそろカネ取ってもいいんじゃねーの、コレ!?」な皆様、商売敵のイラストレーター、山代と申します。
今回はボクがいちあっぷ講座でテキストを書くきっかけになったイベント、『クリエイターEXPO 2016』への出展についてです。
ボクの初めてのEXPO出展体験を、参考とか反面教師とかにしていただければボクの出展が更に報われるんじゃないかなとか、まぁそういう回です。
大変ありがたいことにクリエイターEXPOこと務局様から写真や図面などの画像をお借りできましたのでそれらを交えてつづっていきます。
毎度のことながら敵に塩を送る気持ちで書き散らした本コラム、要刮目。
クリエイターEXPOてなんやねん
(提供:リード エグジビション ジャパン株式会社)
初耳な方に説明すると、『クリエイターEXPO』とは作り手と買い手の商談を目的としたイベントで、年に1回、6月頃に3日間、開催されます。
絵描きやマンガ描き、デザイナーや写真家など創作に携わる様々な業種の人間が、東京ビッグサイトに集まって未来のお客様になる来場者を待ち受けます。
コミケが製品を売るのに対し、コチラは能力を売るような感じ。出展者にとってはお客様が会いに来てくれるイベントなので、営業効率がとても良いです。
申し込み
出展の方法には大きく分けて2つあります。
一つが『会期中に現地へ行って申し込む』、もう一つが『契約書を郵送して申し込む』です。
どちらが良いかと言うとコレはもう100%前者です。
会場内はイラストや写真など創作カテゴリに応じて区分けされているのですが、直申請した場合、登録カテゴリの区域の中から好きな位置の小間(ブース)を選ぶことができるのです。
コレは先着順に埋まっていくので、大通りに面した往来の多そうな位置などは前年の会期中に埋まりきります。
本年度の会期中に来年度の申し込みを受け付けている為、2017年度についてはもう手遅れです。が、一応来年度の間取り図貼っておきます。
「ココいいじゃん!」って思われた場所はもう埋まってますので、歯がゆい思いを堪能してください。
(提供:リード エグジビション ジャパン株式会社)
後者の契約書を郵送するパターンについては、以下のサイトのフォームなどから資料を取り寄せて手続きすることになります。
自分に何ができて、どのカテゴリが相応しいのかを考えて申し込んでください。
http://www.creator-expo.jp/ja/
ボクはイラストレーター枠で参加しました。
絵描きの他にデザインワークもやれたので、絵描きを発掘しにきたお客様に「おっ、デザインもやれんの?とりあえず押さえとくか」と思わせる魂胆でした。が、周りはそんなヤツばっかでした。
用意するもの(イラストレーターの場合)
先ほども申しましたが、『クリエイターEXPO』の目的は商談です。
個展(ワンマンライブ)やグループ展(対バン)とは大きく異なる点がココで、当然ですが出展内容はイラスト掲げて終いってワケには参りません。
それでは、「コレが正解!」とは申しませんが最低限用意しときたいモノを以下に挙げてみます。
ブース掲示イラスト
コレは当たり前ですね。自分はこういう絵を描く人間ですってのを見せつけましょう。
小さいのをいくつも飾るより、キメのデカいヤツを一発飾る方が飛び込みがいい気がします。
搬入日までに用意しておくのがベストですが、最悪デジタルデータであれば現地でもA1で印刷できます。
名刺
そりゃあもう商談ですから。あって困るものでもない、と言うか切れたらマズいので多めに持っときましょう。(最低500枚)
他のブース出展者にも挨拶しておくと、後々シゴトを紹介しあったり、足を引っ張りあったりできるかもしれません。
パンフレット(ポートフォリオ)
こと例及び作品集です。足を止めてくれたお客様なんかにはコイツを見せつけて自己アピールします。
体力(カネ)があれば、お客様に持って帰って貰えるように数を作っても良いでしょう。
チラシ
自分の出来ること、優れていること、連絡先とかをA4にまとめたチラシを作っておきましょう。(1000枚とか)
通りすがりなお客様には名刺とセットでばらまくのもアリ。チラシより名刺の方が収集されやすい気がします。
離席中看板
メシやら便所やら他ブースの冷やかしやらで自分のブースを離れる間、卓上に設置しておく案内表示です。
「ただいま離席中!チラシなどご自由にお持ちください!」的なことを書いとけば良いでしょう。自分が消えてる間に名刺の山も消えてたりします。
ブースの作り
以下の図をご覧ください。コレが1人辺りの小間サイズになります、ケッコー窮屈(きゅうくつ)です。
(提供:リード エグジビション ジャパン株式会社)
コイツがズラッと並ぶワケですから、装飾にヒキがないとお客様には見飛ばされがちです。
ブースのレンタルの際にオプションで電源を引いたり、照明を増設したりできるので、自分の思い描く展示スタイルに合わせて適宜利用して下さい。
自分の場合は電源を引いて、でっかいモニタを他社でレンタルして、イラストを切り替えて表示させていました。
イラストレーターゾーンの中では発光媒体を使ってブースアピールをしてる方がそんなにいなかったように思いますので、良い差別化と目印になりました。
来年モニタを設置してるイラストレーターが増えてたらボクの手柄だと勝手に思いたいです。
今回1番の成功はコレだと思います。
(山代ブース)
その他運営事務局が企業宛に自分のチラシを発送してくれるサービスなどもありますので、サイフの許す限り適宜活用しましょう。
会期中の動き
(提供:リード エグジビション ジャパン株式会社)
まぁだいたいコミケと似たようなカンジです。ブース間を回遊してるお客様を待ち受けましょう。勇気のある方は通路に出張ってチラシを撒いたりして下さい。
ボクは引っ込み思案なタイプですので、レンタルしたモニタが人の目を惹いてくれるのに甘えてボケっと無言で釣り糸を垂れていました。
「わざわざ声かけてでも、コイツのハナシ聞いてみたい」と思ってくれる方は幾らか強目的の方なので、ハナシが弾みやすく、精神にも優しいです。
あと、あらかじめ決められるなら決めておいた方がいいこととして、値段があります。
こういうモノを1点描いたらいくらとかいうハナシを作品集で示しながら出来ると仕こと人っぽくて良いです。
ボクはこのツメが甘かったので「大体100万ですかねえ……」とか高額受注の例だけ挙げてやり過ごしてました。
終了後
あなたの絵に光るモノがあったり、あなた自身の人当たりがもの凄く良かったりする場合、会期の終了後には相当数の名刺が集まっていることでしょう。
なるべく早くお礼的なメールを送って下さい。他の出展者も同様にメールを送りまくっています。
できることならお客様の手掛けるビジネスや、会期中に話した内容に応じて文章を変えましょう。
宛先だけ変えたテンプレ的な物言いは心に届きません。
出展は結局いくらかかったの?
ってのは以下になります、震えて眠れ。
出展料:¥102,600
ブース内電源工事:¥13,500
チラシ発送サービス:¥15,000×3種(出版社宛、メディア+制作会社宛、一般企業宛)
発送サービス用チラシ(3,500部):¥7,100
会期中配布用チラシ(1,000部):¥3,400
モニタレンタル:¥24,300
掲示用ポスター及びパネル:¥18,000
名刺Aパターン(100枚):¥50,000
名刺Bパターン(500枚):¥50,000
配布用ポートフォリオ(100部):¥50,000
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計:¥363,900
※名刺はインパクトのあるものとノーマルなモノの2種を用意していました。
※元々持っていた掲示用のイラストや交通費、配送費などは除く。
反省点及び小ワザ
価格の提示
上のほうでも触れましたが、だいぶいい加減でした。
高めを言うあまり、「それなら要らないよ」と声に出さずとも顔に出たお客様の表情はなかなかグッとキます。
安売りにならないレベルで現実的なハナシができるようになっときましょう。
シゴトの打ち合わせを入れた
コレは酷い。2日目ほとんど留守でした。
ケツが痛い
積極的に通路に出て客引きをされる方はなんてことないかもしれませんが、待ち受け型の接客ですと結構座りっぱなしなのでお尻壊れます。
座布団的なモノを用意しましょう。
ロッカーや印刷屋の利用
会期は3日間あるワケですが、閉館時間から翌日の開館時間までは自分のブースをほったらかしにしなくてはいけません。
ノートPCなどそこそこ値の張るモノ、価値あるデータなどを持ち込んでいる場合、万が一の盗難やイタズラに備えて施設内ロッカーを利用しましょう。
また、会期中にチラシが尽きた場合やポスターを刷新したい場合、名刺が切れた場合にデータさえ用意できれば会場内で印刷が可能です。
http://www.bigsight.jp/services/services/business_support/
万が一に備えて作業環境を持ち込むか、予め各種データをUSBメモリなどに保管しておきましょう。
以上、いかがでしたでしょうか?出展をためらわれている方や、イベント自体をご存知なかった方なんかの背中を押せていたら幸いです。
(EXPO運営局の方がご覧になってましたら、しれっと宣伝料を振り込んでくださっても一向に構いません。)
それではまた、ご縁がありましたらお会いしましょう。
著・山代政一
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京都生まれ東京都在住のイラストレーター及びデザイナー。
引きこもりの幼少時代に養った卑屈な精神を、どうにか生産的なものに転化するため美術に目をつける。学生時代Photoshopでデザインを始めたと思ったら いつのまにかMAYAで画を描いていた。3Dソフトで静止画を描くという歪んだ制作スタイルは、見る者に一定の混乱を与えることに成功している。パクチーが苦手。