身体の仕組みから考える! 動物の描き方に役立つ知識
2017.02.22
動物を描くって難しいですよね。描く頻度が多い人間のキャラクターですら、描けるようになるまで長い練習を要します。
今回は「動物の描き方に役立つ知識」で学んだ基本的な動物の構造や仕組みをおさえた上で、具体的な動物の描き方を勉強してみましょう。
▼目次
動物を描くときの基本的な考え方
動物の描き方
資料収集
胴体を描く
頭部と首を描く
足を描く
筋肉を盛る
頭部を描く
仕上げ
動物を描くときは、骨格に応じて8つのパーツに分けてアタリを取ると描きやすいです。
まず胴体を、
の3つのパーツに分割します。
続いて、その胴体に結合する、
の5つのパーツに分割します。
この計8つのパーツが動物の骨格の基本です。これらのパーツの形状と比率を変化させれば、様々な動物を描けるようになります。
次に具体的な動物の描き方を見ていきましょう。例として取り上げる動物はウマです。
まず資料収集から始めましょう。
ウマは、イヌ、ネコ、トリと並んでもっとも描く機会の多い動物のひとつ。特に騎馬や馬車の登場するファンタジー系の作品では必須とも言える存在です。
動物も他のモチーフと同様に、描きはじめる前に画像・動画など様々な資料を揃えます。その際には、可能な限り骨格や筋肉などの解剖学の資料も手に入れましょう。
動物を描く際に解剖学の資料を見ることは、ゲームでいれば攻略本を片手にダンジョンをクリアするようなものです。一見不可解な表皮の凹凸も、解剖学の資料が手元にあればその隠された構造を把握しやすくなります。
さて、ここからは資料を元にウマの描き方を追っていきます。
最初に基準となる背骨を描きます。ウマの背骨は大地にほぼ平行に走っていますが、肩周りは盛り上がっています。これは首の付け根付近の背骨の上側に並んでいる突起です。この突起には首を支える筋肉が付着するため、キリンのように首の長い動物やサイのように頭部の大きな動物は大きく発達しています。
続いてこの背骨に肩、胸部、腰のアタリを描きます。馬の首は胴体から斜め上に生えているため、肩のアタリも斜めに描きます。哺乳類は胸部と腹部が横隔膜によって仕切られ肋骨が背骨の途中までしかないため、胸部は腰との間にやや隙間を開けて配置します。この隙間が腹部の”くびれ”にアタリます。
人間にそれぞれ体型があるように、ウマの体型も様々ですが、肩、胸部、腹部、腰の比率は、1:1.5:0.5:1を目安とするといいでしょう。
頭部と首を描きます。首周りを描くときは、最初に頭部を描き、次に後頭部と胴体を接続するように首を描くといいでしょう。
一部の動物を除いて、哺乳類の首は7個の頚椎のつながりです。ウマが首を動かすときは、この七個の頚椎がパイプのように曲がったりねじれたりします。クランクやシャフトのように折れたり回ったりはしないので注意しましょう。ウマの頭部と首の長さの比率はおおむね1:1で、これは胸部+胴体の長さに相当します。
足を描くときは、描く動物が蹠行(せきこう)性なのか趾行(しこう)性なのか蹄行(ていこう)性なのかを把握して、おおまかな骨格の流れを描きます。
ウマは足にひづめのある蹄行性動物なので、上腕骨(大腿骨)は短く、人間のひじやひざに相当する関節が胴体にくっつき、人間の手首(足首)に相当する関節が足の中程の位置になり、外見上逆関節となります。
ウマは足が細く関節が目立つため、関節の部分にはしっかりと丸でアタリを取りましょう。ひづめは大地に伏せたアイスのカップを斜めに変形させたような姿で、斜め前方に伸びる指骨を経由して足につながっています。
ウマの足の長さは胴体の高さよりも若干長く、足の関節はひづめまでを含めた足全体ほぼ中央に位置し、前足より後ろ足の位置が若干高くなります。
描き上げた骨格に筋肉を盛って細部を仕上げていきましょう。ヒトを含む動物は筋肉も骨格と同様にその付き方も共通していますので、資料と見比べ、首周りや胴体の筋肉を描いていきます。
頭部も胴体と同じように、パーツを分けて考えましょう。頬のパーツ、鼻へつながるパーツ、鼻先のパーツと三つにパーツ分けして考えると描きやすくなります。
ウマは馬面という言葉の示すとおり顔の長い動物で、ウマの頭部は前から見ると二辺の長いひし形で、横から見ると鼻先の切り落とされた三角形です。鼻先は鼻の上、口の部分、顎下と三箇所を切り落として考えるとわかりやすいでしょう。頬のパーツ、鼻へつながるパーツ、鼻先のパーツの比率は4:3:1ほどになります。
頭部の細かいパーツは資料をしっかりと観察して描きます。草食動物のウマは草を喰むための頬袋が発達しており、外見上口は小さくなります。また、捕食動物をすばやく発見できるよう、両目が顔の横にあり視野を広く確保できるようになっています。
目の斜め上には人間のこめかみに相当するくぼみがあり、ここには顎の筋肉がついています。耳は、鼻から目を結んだ曲線の延長に位置し、後頭部と首の境目に生えます。
たてがみをはやし、細部の仕上げをして完成です。
動きのあるポーズを描くときは、力の流れを曲線で描き、その曲線に沿ってパーツを配置して描くといいでしょう。パースのついたポーズを描くときは、最初に動物を囲むボックスでアタリをとると描きやすくなります。
今回はウマを例に動物の描き方を学んでみました。ウマ以外にも、わたしたちの身近にはさまざまな動物がいます。あなたももし身近な動物に興味を持ったら、いろいろな動物にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
フリーランスのイラストレーター・デザイナー。
普段は、ファンタジー・SFを中心に、ゲームの背景・コンセプトアート・キャラクター・クリーチャーなどを描いています。
個人では草原を舞台にしたファンタジーの創作活動を行っています。書籍の装画・カードイラスト・コンセプトアートなどのお仕事を募集しております。
Pixiv: http://www.pixiv.net/member.php?id=10160
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