鉛筆を使いこなす! モノクロイラストメイキング

鉛筆を使いこなす! モノクロイラストメイキング

普段、あなたはどんな道具を使って絵を描いていますか?

 

アナログ画材を使ったり、デジタルソフトを使ったりと選択肢がありますよね。今回はその両取りでアナログ画材、デジタルソフトを併用したモノクロイラストメイキングです。

 

鉛筆を中心にアナログ画材の特徴を活かした内容ですので、誰もが学べる講座となっています。身近な鉛筆を使いこなしてみましょう。

 

▼目次

1.テーマと構図を決める

2.鉛筆であたりを描く

3.全体の陰影をつける

4.葉っぱを描く

5.陰影をさらに濃くして絵を整える

6.顔や衣服の細部を描きこむ

7.絵をスキャンしてデジタルソフトで加工・加筆・修正をする

 

 

メイキングする完成イラスト

アナログイラスト

1.テーマと構図を決める

今回は「落ち葉が沈む水面に浮かんでいる少女」を描きます。

 

インパクトのある絵柄にしたかったので、あえて正面から俯瞰する構図で描くことにしました。水中に沈む描写は想像で描かず、入浴するときなどに水面の動きや、水中にあるものの見え方を確認したり、イメージに近い構図やシチュエーションの画像を参考にすると説得力のあるものになります。

 

2.鉛筆であたりを描く

鉛筆であたりを描く

使う画材は主に鉛筆、ペンタイプの消しゴム、練り消し、擦筆(さっぴつ)です。

 

鉛筆は3B、4Bなどの濃いものから2H、3Hなどの薄いものを揃えると使い分けができて良いと思います。練り消しは微妙な陰影を表現する際に重宝します。その他ティッシュなどがあるとグラデーションの表現など、色々と使えるので用意しておきます。

鉛筆であたりを取る

3Bの鉛筆で大まかなアタリをとります。このとき、力を入れて描くと後で消しにくいので柔らかく描きましょう

 

3.全体の陰影をつける

全体の陰影をつける

大体のあたりが取れたら、画面全体に陰影をつけます。画面で一番暗いところを先に決めると作業が進めやすいです

全体の陰影をつkる

広範囲の部分を塗るときは鉛筆を寝かせ、描いた線をティッシュや指でこすって紙に馴染ませましょう。細かい描きこみは鉛筆を立たせて、細く濃い線を描き、ティッシュや指でこすりにくい部分は擦筆や綿棒で馴染ませます。

全体の陰影をつける

作業を進める際は一部分に集中せず、構図や陰影のバランスを確認するためにも全体を描きながら進行していきましょう。一通り描いたら、画面から少し離れて全体を見て、違和感のある部分はないか確かめると良いです。

 

4.葉っぱを描く

葉っぱを描く

水面に散る葉っぱを描写します。薄く描いた葉っぱの輪郭線に沿って、重なった部分を練り消しで消して白くした後、葉っぱの筋を描きこみます。

 
葉っぱを描く

同じ要領でバランスを考えながら葉っぱを配置します。葉っぱの前後の位置関係を意識しながら、適宜陰影をつけていきましょう。水面に近い葉っぱほど明るくはっきりした輪郭で、水中に沈んでいる葉っぱほど暗くぼやけた輪郭で描写します。

 

5.陰影をさらに濃くして絵を整える

陰影をさらに濃くして絵を整える

細かい部分を描写するとともに、画面全体の陰影をさらに濃くして画面に奥行きを出します。さらに、あたりを描いた際に残った「迷い線」もティッシュで馴染ませ、鉛筆で影を濃くし、輪郭をはっきり描いて整えました。

陰影を整える

水中に体が浮いているイメージなので、体の下の影を濃くします。同時に葉っぱの光が当たっている部分を練り消しで消して白く表現します。

6.顔や衣服の細部を描きこむ

顔や衣服の細部を描き込む

全体を一通り描いたら、顔や衣服などの細かい部分を描きます。

 

顔はパーツの輪郭線を描くとともに、俯瞰したときの影の当たり方などを意識しながら陰影も描写します。俯瞰して見ている顔を横にした際、どこが一番出っ張っていて、どのような影を作っているかを想像しながら描くと違和感の少ない陰影がつけやすいです。

 

陰影を整える

衣服は水面に出ている部分と水中に浸っている部分の描写の違いを意識しながら描いていきます。当初は胴部まで水面に出ているイメージでしたが、水中の布の動きを描きたかったので、胸から下は水中に浸っているデザインに変更しました。

 

水中の衣服の動きは、ペン型の消しゴムで衣服のシワの輪郭を描き、練り消しで薄っすらと鉛筆を消して柔らかい布の膨らみを表現しました。

7.絵をスキャンしてデジタルソフトで加工・加筆・修正をする

色合いの調整

絵をスキャンしてCLIP STUDIO PAINTを立ち上げます。完成イラストはA4サイズにするので、A4サイズの新規レイヤーに、絵のサイズを合わせてバランスよく配置します。また、コントラストを調整して陰影をはっきりさせましょう。

デジタルで調整

スポイトで絵の一番暗い部分の色を取り、大きなサイズのブラシで絵の周りを暗くして、より人物にピントを合わせているようにしました。

デジタルで調整

また白い部分の色をスポイトして、人物の上に残った鉛筆の汚れをブラシで馴染ませます。さらに水面に出ている髪の毛の光沢や後れ毛などを極小サイズのブラシで加筆します。葉の筋など、細かすぎて鉛筆や消しゴムで描写できない部分も、デジタルでは小さいブラシで描きこめるので加筆します。鉛筆のガサガサ感が強い部分は、色混ぜツールで少し馴染ませましょう

デジタルで調整

これで完成です。

まとめ

以上の制作フローをまとめると、以下の流れです。

1 鉛筆で大体のあたりをとる

2 全体の陰影をつけながら細部を整える

3 スキャンしてデジタルソフトで陰影や細部の加筆・修正をする

 

鉛筆は粉なので、単に描き込むだけでなく、ティッシュや擦筆などを使ってぼかすことで、表現幅が広がります。このテクニックは鉛筆画を描く上で必ず覚えたいテクニックなので習得しておきましょう。

 

また、アナログで描く場合でもデジタルで画像を小さくして確認するようなイメージで、時々画面から少し離れて全体のバランスを確認してみましょう。不自然な箇所を見つけやすくなります。

 

著・画 八頭こほり

Tumblr|http://yazukohori.tumblr.com/

Twitter |https://twitter.com/yazukohori

2014年頃から創作活動を始めてイベントや展示に参加しています。

装画を担当した『真言立川流の真実』(藤巻一保/洋泉社)が発売中です。よろしくお願いします。