『賭ケグルイ』原作者 河本ほむら流! 面白いシナリオとキャラクターの作り方とは?
2020.04.08
全国の総合学園ヒューマンアカデミーにて大好評開催中のイベント『<全国開催>有名イラストレーターによるライブペイント&添削会』。これまでにプロとして第一線で活躍しているクリエイターの方々にご登壇いただきました。
2020年度、最初のセミナーでは『クルミナルガールズX』や『閻魔堂沙羅』シリーズのイラストを手掛ける人気イラストレーターの望月けいさんにご登壇いただきます!
今回は初のオンライン開催ということで、たくさんの方々にご参加いただき、望月けい流の配色テクニックやクリエイティブに対する考え方などをお話いただきました。
本記事ではレポートとして一部内容をお届けします。
■望月けい
イラストレーター。
卓越したデザイン力やカラーセンスなどを発揮している、今注目を集めているクリエイターの一人。代表作はゲーム『クリミナルガールズX』、書籍『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズなど。さらにはプロモーションイラストやグッズ関連イラストなどジャンルを問わずに幅広く活躍している。2019年には初の個展も開催された。
■総合学園ヒューマンアカデミー「マンガ・イラストカレッジ」とは?
本イベントの主催である総合学園ヒューマンアカデミー「マンガ・イラストカレッジ」。
初心者からでも学べるマンガ・イラスト専門の学校です。業界の現場で活躍するプロ講師から直接指導を受けて技術や考え方を学び、マンガ・イラスト合宿という、直接出版社やイラスト企業に自身の作品を見てもらえるイベントがあります。
在学中にデビューを目指しましょう!
▽目次
―― 今回のセミナーは初のオンライン開催。事前による申込者限定でライブ配信がなされました。本レポートではその質疑応答とメイキングの一部をお届けしていきます。
Q.望月けい先生が高校3年生の頃にやっていた絵の練習方法はどういったものでしょうか?
望月けい:
具体的な練習方法というものはないですが、常に描いたことがないものに挑戦するようにしていました。それはモチーフだけでなく、構図だったりと様々です。
あと、練習を繰り返すより一枚絵を完成させることを繰り返すことが大切だと思っています。例えば、手が苦手だから手の練習ばかりしていても、いざ本番になったら練習した通りに描くわけではないので非効率になりがちです。
Q.望月けい先生はどのように構図の決めているのでしょうか?
望月けい:
「これ!」っていうものはなく、思いつきで決めることが多いですね(笑)。とはいいつも、日頃から思いついた構図などをストックしています。
みなさんが取り組みやすい方法としては、写真が良いかなと思います。私は写真を撮っているとき、フレームに入っている被写体との構図からインスピレーションを受けていることが多いです。スマホで良いので日頃から写真を撮るときに構図を意識してみましょう。
さらに写真だけではなく、日頃から絵に対する意識を高めることが大切だと思っています。生活と絵の距離を縮めるというか。
生活と絵の距離が近いと、日常のいたるところに構図やデザインといった気付きがあります。例えば、料理が置かれた机があるとして、美味しく見える料理の盛りつけや皿同士の距離、落ちる影やハイライトの入り方、食器の色味などが絵の参考になります。
他にも歩いている人のファッションや家のかたち、道路に置かれているものなど、生活と絵の距離を短くすることでいろんなことが見えてくるんですよね。
Q.衣装デザインはどのようなものを参考にしているのでしょうか?
望月けい:
実際の街中の人を参考にしたり、雑誌や漫画などを見てインスピレーションを受けていることが多いですね。雑誌も非常に勉強になるのはもちろんですが、漫画のモブキャラに注目すると可愛らしい服を来ていることが多いので、アレンジして参考にしています。
あとは色ですね。服って色の組み合わせが難しいと思っているので実際の人のファッションや映画などから気づくことが多いです。
Q.1枚絵の制作時間はどれくらいなのでしょうか?
望月けい:
仕事と趣味で変わりますね。仕事絵であれば細部まで気を使ってキレイに仕上げる必要がありますし、趣味絵であれば精密表現する必要がなかったりで制作時間が変わります。
それでも仕事絵の制作時間は平均5~6時間、ラフが1時間、線画1時間、残りが数時間ぐらいかなと。趣味の絵であれば全体で数時間ぐらいかな。
私の絵は省略が効きやすい絵柄なので、省略が効くところはどんどんデザインを引き算して描いています。
Q.色の選び方で気にしているところはありますか?
望月けい:
基本的には色は気を使うところばかりです。喧嘩しない、見やすいか、印象が反映されているか、ギャップのある演出ができているかなどあります。すべていきなりできるようになるのは難しいので、一つずつ意識してやってみるのが良いかなと。経験を積み重ねていきましょう。
Q.仕事をする上で意識していることはありますか?
望月けい:
イラストレーターという職業は描いた作品をたくさんの人に見ていただくことが使命だと思っています。だからこそ、お仕事を頂いたら期待に沿うこと大切にしています。
例えばクライアントの意図をしっかり汲んで、汲んだ上でどれだけ魅力的にできるかですね。自分のファンにもしっかり見てもらえるように取り組んでいます。
―― 望月けいさんの配色テクニックのひとつである「一色ずつキーになる色を増やしていく方法」を紹介いただきました。配色すると色同士が喧嘩して、まとまりのある配色が上手くできないときに役立ちます。
望月けい:
まずは、こちらのモノクロ状態の絵をどういう意図で描いてきたかを説明します。
この絵で何を見せたいかというと顔です。そして手、胸周りに視線が行くように描きました。
望月けい:
さらに背景の余白をこのように空けて、首が傾いているように見せています。演出の意図として女の子の華奢感を出しつつも、頼りになりそうな雰囲気を演出するのが狙いです。さらに口を隠すことでミステリアスさも出しました。
望月けい:
オーバーサイズのジャケットから少し腕が見えることで、ジャケットのゴツさと女の子の柔らかさのギャップを出して、女の子の可愛らしさを引き出そうとする意図があります。
望月けい:
このように配色をモノクロにした理由は、色のメリハリをわかりやすくするためです。
例えば、服を白くすると顔に目が行きやすくなるのが分かると思います。ただ、当初の目的である顔から下への視線誘導が出来ていません。そこで服を黒くすることで、服にも視線が誘導されるようになります。
望月けい:
髪のシルエットに隙間を空けて、情報量を増やしています。隙間をあけることで髪と背景が「図と地」になり、視線が集まりやすくなります。
情報量はモチーフを足すことでも増やせますが、このようにモチーフを減らすことでも情報量を増やすことができます。特にこのイラストでは顔に視線が集まるようにしたいので髪のシルエットを空けることで情報量を増やしています。
望月けい:
では、ここから配色テクニックについて紹介していきます。
まずはモノクロ状態から一色増やして、ジャケットを青系にしてみました。
望月けい:
続いて、ジャケットの青を邪魔しないように肌に色をつけます。肌の色は黄色寄りの赤系にしました。黄色寄りにすることで青色が引き立ちます。
望月けい:
さらに背景には赤を入れてみました。このままだと赤と青が喧嘩してしまうので、どちらかの色味を抑えてあげましょう。
望月けい:
なので、今回はジャケットの彩度を下げました。彩度を下げることで色味が抑えられて喧嘩しなくなります。
望月けい:
キャラクターの一部と背景に同じ色を使って統一感のあるようにしてみました。私は色を使い回すことが多く、このような手法をとることでまとまりのある配色ができます。
望月けい:
黒髪のインナーカラーに黄緑を入れてみました。このままだと派手な印象になるので、彩度を落とします。さらに色味を赤か青のグループに寄せることで、統一感が出ます。今回は青系に寄せてみました。
以上が、「一色ずつキーになる色を増やしていく方法」です。
その後、塗り進めて完成です!
―― その後、行われたイラスト添削会。各々の目指している将来像に合わせて講評コメントを細かくいただき、非常に勉強になりました。本レポートではその一部ご紹介します。
望月けい:
「机の上においしい食べ物がたくさん乗っていて、それを食べているところ」とのことです、よく描けていると思います!世界観がしっかりまとまっていますし、表情もあどけない感じが伝わって来ていいですね。
さらに良くするのであれば、モチーフの優先順位をつけて描いてみましょう。キャラクターと食べ物、背景が同じぐらいに描かれているので見せたいものが曖昧な印象です。背景は優先順位が低いので、背景描写を削るだけでもキャラクターや食べ物が目立ってきます。
また、机の赤色をもっと鮮やかにしていいかも知れません。鮮やかになると机に視線がいくので食べ物が目立ってきます。
オンラインのライブペイント・講義添削終わりました〜
— 望月けい (@key_999) May 24, 2020
YouTubeでコメントくれた方々、作品送ってくれた方々ありがとう〜〜〜おつおつでした 添削作品はちょっと時間かかっちゃうかもだし少なめのコメントになるかもだけど添えて全部お返しするね
いっぱい喋ってねむくなっちゃった pic.twitter.com/urdtSThEe5
以上、望月けいさんによるオンラインイベントでした。イベントの反響はこちら!
次回は『天気の子』や『君の名は。』のキャラクターデザインを田中将賀さんがご登壇!こちらもオンライン開催予定です! 一流クリエイターが見据えるプロとしての視点やテクニックについて取り上げていきます。
申込み無料ですので、興味がある方は是非ご参加ください。
こちらも無料イベントですので、気になる方はぜひ参加をお申し込みください!
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