イラストにおいて、髪はキャラクターを引き立たせる重要なパーツです。キャラクターを魅力的するパーツのため、いくつかのコツをマスターし、取り入れることでキャラクターイラストがレベルアップすること間違いなしです!
今回は、質感を出した髪の毛の描き方について、イラストレーターのつるしまたつみさんが解説します。まずは基本をおさえて、応用できるようになりましょう。
記事の最後には詳しい動画解説があるのでチェックしてみてください。
▼目次
1.パーツを分けて、髪の流れをイメージする
今回使用するソフトは、CLIP STUDIO PAINTです。
メインの色で下塗りをした状態からスタートします。レイヤーは奥と手前のツインテール、それ以外の三枚に分けています。
▲奥のツインテールのレイヤーは、ここでは非表示になっています
髪型を描くときは下記のようにパーツに分けて考えると描きやすいです。
- フロント(前髪)
- 中央(今回はヘッドドレスで隠れています)
- サイド
- ツインテール
髪の流れのイメージはこちらです。
<ポイント> 頭は丸みを帯びているので、頂点から弧を描いて落としていきます。垂直に落とすと不自然に見えがちです。また、ツインテール部分は、くせっ毛をもたせてウェーブがかかっていることを意識しました。
2.フロント(前髪)とサイドを塗る
(1)明るい部分と影の色の選び方
カラーサークル上で、メインの色に対して、以下のように選びます。
- 明るい部分:左斜め上の色。色相を変える場合は、黄色寄りにします
- 影の部分:右斜め下の色。色相を変える場合は、青寄りにします
※色相=外側のカラフルな円の部分
(2)ツヤベタのイメージで塗る
下塗りをしたレイヤーに、影の部分の色を使って塗っていきます。
最初に毛束ごとに、ガイドラインを引くと分かりやすいです。そのあと、前髪の上部、毛先の部分、中央部分の順番で塗ります。
塗り方は漫画の技法のツヤベタのイメージです。影の色で塗って上下を削っています。サイドは高い位置で結んでいるので、上に向かって影をつけていきます。
(3)色の調整をします
影が薄く感じたので、もう少し暗い色で塗り重ねました。
3.ツインテールを塗る
奥のツインテールレイヤーを塗っていきます。
ウェーブ気味のため、冒頭でお伝えしたように流れをイメージして塗ります。影の色は先ほど塗った場所から、スポイトツールで取って使います。
<ポイント> 影の形をふちどってから、内側を弱い筆圧で塗ることで、 水彩境界のような質感を出すことができます。
4.ハイライトを塗る(スクリーンレイヤー)
スクリーンレイヤーを作成し、クリッピングして黒で塗りつぶします。以降も同様に、レイヤーを作成したらクリッピングをします。
カラーサークル上からメインの色の左上の色を選び、塗っていきます。お好みでベースのレイヤーにそのまま塗ったり、覆い焼きカラーレイヤーを使ったりしてもよいです。
さらに、メインの色と明るい部分の色の中間色で塗りを加えて、質感をアップさせました。
5.線画を描く(通常レイヤー)
通常レイヤーを作成し、細いブラシで線画を描き入れます。色は髪に近い色をメインに、ところどころに黒を使います。
6.テクスチャで質感を加える(オーバーレイレイヤー)
色の入ったテクスチャを貼り付けます。サイズ調整し、[レイヤープロパティ>効果>「質感合成」]で合成します。
レイヤーをオーバーレイ、不透明度10%程度に変更します。この方法は、絵に簡単に深みを出せるのでおすすめです。
テクスチャを使わない方法もあります。ブラシでピンク・オレンジ・黄色・青などを光の方向や反射光に乗せてみましょう。レイヤーはオーバーレイを使い、不透明度を下げます。
△前髪の上部に青、下部にピンクを乗せました
今回はピンクっぽいイラストなので、ピンクを乗せるとよいですがイラストに合わせて、紫などの色を使用することもあります。
さらに、顔回りに肌色を乗せることで透明感がアップします。
7.立体感を加えます(通常レイヤー)
後ろにあるものに薄い青をのせることで、絵の奥行きを表現します。
これは、色による心理効果を利用したテクニックです。
- 暖色(進出色):手前にあるように見える
- 寒色(後退色):後ろにあるように見える
大き目のブラシで塗り、レイヤーの不透明度を60%に下げます。さらに、線画の色が少し濃かったので薄く調整をしました。
8.落ち影を描く
乗算レイヤーを作成し、落ち影を描きます。(※落ち影=物に遮られてできる影のこと)
今回のイラストでは、画面の左上から光が差しているため、ヘッドドレスで光が遮られます。なお、落ち影に色をつけても面白いです。後退色である青や、ヘッドドレスに使われているピンクや赤が合います。
同様の手順で、手前のツインテールも塗ります。
以上で、完成です。
さらに詳しく学びたい方は解説動画をチェック!
こちらの動画を見ると、ブラシによる影と明るい部分の描きこみと、そのあと調整をする過程を等倍速で見ることができます。より理解を深めたい方は是非ご覧ください。
記事元の著者:つるしまたつみ
ポップで色彩鮮やかなイラストを得意とし、CDジャケットデザイン・グッズデザイン等、幅広く各種媒体のアートワークをこなす。
これまで手掛けた作品は数知れず、ゆるめるモ!やバンドじゃないもん!を始めとするアイドル、そして上坂すみれ、初音ミクなど、声優からキャラクターまで多岐にわたる。
50人のイラストレーターが1人を描く異色の合同展「百人百色展」の主催や、イソ(ベ)マスヲとタッグを組み全国7ヵ所を巡るイベントツアー「つるマス全国ツアー」の開催と、エンターテイメント性と創造性に富んだ企画・活動も活発に行う。
Twitter:https://twitter.com/tsuru_oden